原文入力:2012/02/29 18:54(3725字)
↑ 1.アン・ジフン氏が集めた50~70年を経た米国・日本産の万年筆. 2.アン氏が初めての収集品としてフィンランドのフリーマーケットで買ったおもちゃの電車. ‘MADE IN U.S-ZONE GERMANY'と書かれていて第2次世界大戦後の米国領ドイツで作った製品ということがわかる。 3.イ・チャンフン氏が自宅の壁に掛けている19世紀中盤に作られた椿木筆架(筆かけ). 4.アン氏が持っている1960年代に作られたフィンランド、アラビア(Arabia)のRuskaヤカン. 5.アン氏がスウェーデンに出張した際に買ってきた1930年代に作られた革の旅行カバン. 6.イ氏が4年前から集めているライオン像の中で19世紀後半の清国時代に作られた作品.
国内骨董品・北欧ビンテージ物を集めるサラリーマン収集家
"お金が余って仕方ないから骨董品を買うのか
周囲から誤解されたこともあったが
10万ウォン内外の物が大部分です"
中学生の国語教科書に登場する李御寧(イ・オリョン)教授の随筆<人生の光沢>で、彼は息子にデコラ(合成樹脂)の机を買ったことを後悔していると語った。いつまでもツリツルしたデコラの机では古くなった木の机の手垢がついた光沢の意味を理解できないという部分で頷いたが、依然としてスマートフォンの裏側がスベスベしているかばかりに目がいく。値段が安く新しい物があふれているのの、歳月を含んだ‘古くさい物’は、ただ豊かな人々の専有物だと考えるだけだ。しかし、ここに登場する2人の男はそのような私たちに 「そうじゃない」と叫ぶ。皆と同じように小遣いとカード決済を心配する2人のサラリーマンの‘古くさい物’礼賛論を一緒に聞いてみよう。
←イ・チャンフン氏の部屋に文房四友(紙・筆・墨・硯)が置かれた19世紀の桐の書箱。
古いが故の美しさに惹かれてしまって
イ・チャンフン(43)氏はある大企業で部長として働いている。 去る23日午後ソウル、武橋洞(ムギョドン)で会った彼は‘骨董品’という単語を聞くや微笑を浮かべた。「物欲のためでしょう。どうせなら可愛くて素朴なものが良いです。昔の物が好きだった父親の影響もありましたね。」 彼は10年前から我が国の古い骨董品を少しずつ集めてきた。主に小さくて値段の安い小道具を集めてきた彼は、毎週一回ずつ昼休みに暇を見つけては会社のそばのソウル、仁寺洞(インサドン)を訪ねる。「会社に入社したばかりの頃、偶然に仁寺洞で門にかけておく‘風鈴’を買って以来、骨董品収集を始めました。 その後‘香炉’を買って‘昔の物が本当におもしろい’と思うようになり本格的に集め始めましたね。」 イ氏が買う骨董品はほとんど100年内外の居間用小道具と家具だ。朝鮮末期の硯箱(文房四友の収納箱)や男性用鏡台、引き出しなど男たちが使う木製小道具が大部分だ。「どうしても男たちが使った物に目がいきます。」
買い集めた骨董品はしまっておくより日常生活に使う。集めた物を再び売ったこともない。「最初の頃は周りの同僚に‘お金が余って仕方ないので骨董品を買って集めるのか’と言われたが、実際10万ウォン内外の物が大部分です。」 結婚してからは本箱、収納箱などの家具を最初から居間の家具として一つ二つ整えた。「最初は妻が嫌がったが、どうせ家具を買うなら美しい古家具でインテリアしたほうが良いと説得して、今は一緒に見て歩きます。」
彼は毎週受け取る‘週給’の小遣を貯めて骨董品を買う。それで仁寺洞・長漢坪(チャンハンピョン)の骨董品路地を何度も歩き回って悩む。この頃は国内の骨董品が高くて、中国・東南アジア出張に行けばフリーマーケットで100~200ドル程度の予算を決めて古物を買っている。「2008年からは木を削って作った中国の獅子の木彫像を集めています。 我が国のヘテ像のように類似したアジア文化でも地域ごとに多様な個性があって面白くなりましたよ。」
彼は骨董品を集める最も大きな理由として「物に宿った話のため」と語った。「骨董品店の主人に話を聞くこともありますが、自分で想像する面白味もあります。以前に筆架(筆かけ)を買ったことがありますが、角もよく合っていなくて一目みるだけで下手な技術で作られた物でした。それを壁に掛けて考えます。‘筆を使うから高尚な人が使ったのだろうが、大工を呼んで作る程に豊かだったわけではないんだな’みたいにね。」それでも彼が最も大切にしている骨董品1号は父親から譲られた書類箱だ。「ただの木箱ですが私たちの家族の話が含まれていますからね。 私も息子に必ず譲るつもりです。」
40年前のホッチキス、30年経ったハサミを使いながら
デザインの起源を辿る喜びも大きい
←アン・ジフン氏が10年前にスウェーデンの大学街フリーマーケットで買った革カバンを持っている
北欧ビンテージの美の中へ
24日夕方、ソウル、清潭洞(チョンダムドン)の事務室で会ったアン・ジフン(33)氏は手垢に染まった黄土色の革カバンを机に置いた。 彼はカバンから取り出した真っ赤な英国産のブリキのシガレットケースから名刺を出した。 「ここ、タバコの箱に刻まれた英国王室の模様を見れば‘His Majesty The King’と書いてあります。エリザベス女王時期ではないジョージ6世の頃の物かも知れないんです(笑い)」現在、ブランド コンサルティング業者のチーム長として仕事をしている彼は北欧ビンテージ物を紹介するインターネット ブログ‘スカンジナビアン ビンテージ ファクトリー’も運営している。「幼い時に母方の実家の蔵にあったホコリの積もった真鍮の器・壷を見ながら古い物が好きになったようです。 北欧に暮らしながら古い物を節約して使って分かち合う文化に憧れるようになりました。」
彼は高等学校を卒業して海外同胞が100人余いた1998年のフィンランドに留学し爾来10年間フィンランド・スウェーデンに留まった。「北欧の友人は18才で無条件に独立します。 家で使っていた椅子・器を持ってきて、フリーマーケットで鍋も買ってきます。 古くなった物が再び愛されて新しい生命を得る、そんな生活の中に溶けているビンテージ文化が本当に良かったです。」
アン氏が使う物はカミソリから小さな装飾品まで、北欧留学時期に購入したビンテージ製品が大部分だ。「私が最も大切にしている革カバンは10年前にスウェーデンの大学街のフリーマーケットで買いました。縫い直して、手が届く部分は時間に濃く染まりました。 この頃は人工的に化学処理をして古く見えるようにしてる物もありますが、雪や雨に打たれて手垢にまみれたこの歳月の自然さには敵いません。」彼は最近も北欧出張などに行けば暇を見つけてフリーマーケットを必ず訪ね、会社の中でフリーマーケットを開き収集した物を分けたりもしている。
ささいな物ですが40年前のホッチキスと30年経ったはさみを使いながら、物のデザインの起源を訪ねる喜びも格別です。「収集と言っても必ずしもすごい物を集めなければならないとは思いません。ただ自分に最も近い周辺で物語を含んでいる物を大切にして、話を交わすことが一番大切で魅力的なのではないでしょうか?」
<life tip>
物にも縁がある?
古くなった物を集める二人の男に気がかりだった点を尋ねた。彼らが口をそろえてした話はまさに“物にも‘縁’がある!”
□ 骨董品? ビンテージ? 一般的には作られてから100年を越えれば骨董品、そうでなければビンテージ製品という。 しかし、これは1990年代に米国で関税を払わせるために作った基準だという。 世界にいくつも残っていない1800年代の名品時計より、父親から譲られた安モノ時計の方が貴重なこともあるように、‘収集家’ならばこんな基準に気を遣わないように!
□ 始めるにはどのように? 絶対にどこかへ行って何かを買うというのではなく、家族が使って古くなった物から集めてみるのが良い。だまされて買っても大丈夫ば安いものから挑戦したり、海外旅行または出張に行ってフリーマーケットを探して始めるのも良い。
□ 問題は心がけ 物にも‘縁’がある。いじりまわして戻ってくれば既に売れていたりもするから。 でも、こういう‘偶然性’も収集の妙味だ。 物を売る人に物につまっている物語を必ず尋ねて、インターネットから古美術書籍・博物館など物に関する勉強もしてみれば良い。 木彫像・筆記具のように特定の物を集めようと計画をたてるのも良い。
文キム・ソンファン記者 hwany@hani.co.kr ・写真パク・ミヒャン記者 mh@hani.co.kr ・写真提供アン・ジフン
原文: https://www.hani.co.kr/arti/specialsection/esc_section/521362.html 訳J.S