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[世相を読む]減税政策,その三重の誤り

原文入力:2008-12-11午後10:05:36
チョ・ヒョジェ聖公会(ソンゴンフェ)大社会科学部教授

突き詰めてみれば、税金ぐらい近代国家と密接な関連を持った制度もないだろう。アメリカ独立革命でもフランス革命でも不公平課税に対する反感がしっかりその役割を果たした。それでも米国は独立するやいなや議会で連邦財産税法を制定したし、フランス革命後ナポレオンは課税を中央政府に一元化した。それだけ近代国家において税金が死活的な地位を持っているということだ。
税金は国家の物理的存立にも重要だが、民主主義発展にとってもなくてはならない核心要素だ。税金が増える過程は投票権が拡大して民主主義の同意原則が根をおろす過程と正確に一致する。冷戦の終結とともに全世界的に税金の全盛期も幕を下ろした。市場万能主義は個人と企業に対する減税を宗教のような情熱で推進した。

だがこの頃はそのような傾向に対する反省も出てきている。 例えば私たちが神のようにあがめる米国で金融危機以前にもすでに上位30%の金持ちらが出す税金が全体税収の65.3%を占めていた。だが何の思想でも頭の中に一度入力されれば無条件‘GO’を叫ぶ韓国ではずっと減税だけが生きる道という詭弁を曲げないでいる。減税が国内経済に及ぼす悪影響に対しては大量に報道されているので、ここでは減税が全世界次元でどんな問題を起こすのか探ってみれば良いだろう。

公正な税金を判断する基準は税金を払える能力だ。このような点で現在全世界の税金パラダイムは租税正義と距離が遠い。金持ちから貧者に,富裕国から貧困国に負担を押し付ける局面だ。ある国際NGOは過去には法人税・個人所得税などの税金を避けるために租税避難所という所が別に存在したが、今はますます世の中全体が‘租税回避世界’になっていきつつあると指摘する。(taxjustice.net) <ニューインターナショナリスト>の最近報道のとおりならば、韓国は世界36位圏の租税回避国に分類される。経済協力開発機構(OECD)だけでみれば13位圏だ。私たちは税金に関する限りルクセンブルグ,オランダ,スイス,英国,米国よりもさらに‘寛大な’国だ。暮らしよい国がこのような形で税金を減らすと貧しい国々はますます腰が曲がる。2002年から2006年までの年平均値で見て全世界富裕国から貧困国へ援助,移住労働者送金,海外直接投資,新規貸し出しなど合計8600億ドルが移転された。これに対し貧困国から富裕国へ逆移転されたお金は企業果実送金,負債償還など計1兆2000億ドルに達した。あきれた現実ではないのか。

その上、全世界減税パラダイムは気候変化問題をより一層悪化させている。 地球温暖化の主犯は先進国と一部急速成長開発途上国らだ。それでも環境と関連した税金は引き続き減っている。去る10年間、経済協力開発機構30ヶ国中17ヶ国で環境関連税を減らした。子孫らの墓を先祖があらかじめ買ってあげる格好だ。このように見るならば私たちの減税政策は二重三重の誤りを犯すことといえる。初めから不公正なシステムを無批判に追従した誤り、悪いシステム内で金持ち減税をさらに不公平に推進して庶民らの生活をさらに搾り取った誤り、貧しい国の困難をさらに難しくさせた誤りがそれだ。

ここで私たちは、この土地の庶民が当面する苦しさが移住労働者の涙、一歩進んで全世界貧困国の涙とコインの両面を成すという事実を知ることができる。地球化時代に連帯を語ろうとするなら国内不平等と国際不平等をつなぐ連結の輪を見るべきだ。そのためには社会学的想像力と開かれた共感の姿勢が必須だ。

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/327150.html

チョ・ヒョジェ聖公会大社会科学部教授
原文: 訳J.S