原文入力:2011/09/05 19:02(1261字)
アン・チョルス ソウル大融合科学技術大学院長のソウル市長出馬検討発表で政界が激しく動揺している。十分に‘アン・チョルス突風’と言うに値する。その渦の行く先がどこになるかは簡単に計りにくい。だが、こういう現象はそれ自体として私たちの政治の現実と未来に対して多くのことを考えさせる。
こういう現象が起きることになったのは、一つは既存政党らが変化する市民の多様な期待と欲求にまともに応えられなかったためであり、他の一つは新しい人物を絶えず渇望してきた私たちの政治文化特有の伝統とも関連がある。この二要素がアン・チョルスという大衆に信頼され愛された人物に巡り会い、爆発的化学作用を起こしているのだろう。
アン・チョルス症候群はそうした点で期待と憂慮を同時に抱かせる。新しい人物の出現により触発された台風が、より一層未来指向的な政治パラダイムの創出まで繋がるのではないかという期待が明確に存在する。反面、大衆の熱狂的本質には現代民主政治の要諦である政党政治に対する漠然とした拒否感、ないしは政治嫌悪症もかくれているようで憂慮の恐れがある。
特にアン教授の登場と共に突然あちこちで‘脱理念’の重要性を強調して出たことには警戒する必要がある。政党が常識と理性を跳び越え、過度に理念に埋没することは避けてしかるべきだ。だが、国家と社会が進まなければならない方向に対する理念的指標の必要性まで否認することは羅針盤なしに航海しようという話とも同じだ。同じ脈絡で「政治はよく分からないが行政はできる」というアン教授の見解もあまり適切とは思われない。
こういう色々な気がかりに答えるかのようにアン教授は数日前<オーマイニュース>インタビューで、比較的自身の指向するところについて明快に一線を画した。「歴史の波に逆らっているのは現在の執権勢力であり、現執権勢力が韓国社会で何らかの政治的拡張性を持つことに反対する」という発言がそれだ。こういう発言は彼の政治的指向問題を巡り提起された疑問を解消するには相当程度の助けを与えたと評価できる。
アン教授が野党圏ないしは進歩陣営全体に対してどんな考えをしているかは未だ明らかでない。ただし彼が「野党圏陣営との単一化をいくらでも考慮できる」と話した点は野党圏候補の可能性も開けてあるものと見られ注目される。特に彼が最近ソウル市長候補出馬説が飛び交うパク・ウォンスン希望製作所常任理事を直接名指し‘悩み’を表明したことは興味深い。二人の人生の軌跡や指向するところは多少異なるが、社会に対する献身などの面では重なる部分も少なくないと見える。折よく二人が近い将来に会うとのことで、私たちの社会と政治の発展のための役割などについて虚心坦壊に意見を交わす機会を持つことを望む。
原文: 訳J.S