社説(
李明博大統領が25日、就任満1歳の誕生日をむかえる。 李大統領は1年前の就任式で「大韓民国先進化元年」を宣言した。「産業化と民主化の結実を大切に育てて、各自が自らの役割を尽くして公共の福祉のために協力する社会、豊かさと配慮と品格があふれる国」を作ると約束した。
しかし李明博政府の1年は先進化でなく後退し、逆方向へ進んだ。国民の血と汗で成就した民主主義は20年前に後退した。 民主主義の軸をなす言論という分野が端的な事例だ。 李政権は執務の初めから監査院と検察まで動員して公営放送の<韓国放送(KBS)>社長を追い出し、大統領選挙運動を助けた腹心を民間放送<YTN>社長の椅子に座らせた。 最近では財閥とその縁戚新聞が放送分野まで進出することができるようにするメディア関連法案を推進している。
20
年前に後退した民主主義ろうそくデモが警察の強硬鎮圧に踏みにじられた後、各種集会やデモが元から封鎖されるのは常で、インターネット論客「ミネルバ」と朝鮮日報・中央日報・東亜日報広告不買運動を行ったインターネット・ユーザーらを拘束し処罰したことに見られるように、インターネット空間に「くつわをかませる(口をふさぐ)」ことも盛んに行われている。 国会では速度戦という名の上からの一方的な押し通しがなされて、公共機関長の任期制は無視されて久しい。 また,一斉試験導入等を通した市場主義教育政策・歴史教科書改悪なども“民主化結実”とは反対の方向に進行している。
経済分野でも李大統領は国民の期待を裏切っている。 就職口縮小や輸出減少など、現在韓国社会がぶつかっている経済困難は、世界的な金融危機の影響もあるが、富裕者減税と高為替レート政策など誤った経済政策のせいが大きい。「4大河川整備事業」と「緑色成長」などを危機対策で提示しているが、短期的な対策にだけ汲々として、新しい成長の動力になるよりは経済体質弱化などの副作用のみをさらに育てる可能性が高い。
南北関係は金剛山(クムガンサン)および開城(ケソン)観光中断と当局間の対話断絶だけに終わらずに、最近になっては軍事的衝突まで憂慮されている。
李明博政府1年の成績は、30%台序盤に過ぎない大統領支持率にそっくり現れている。 歴代大統領らの就任1年の時と比較しても非常に低い数値だ。 しかし李明博政府は反省の兆しがない。 むしろ昨年のろうそく政局(ろうそく集会・デモが盛んに行われた昨年5月から8月頃の政局)時の10%台支持率に比べれば、大分上がったと満足そうな雰囲気だ。 そうしたためか国政運営方向も変えるつもりが全くないように思われる。 国政補佐を間違えたという責任を負って退いた側近要人を、前回改閣の時全員復帰させることさえした。 誰がなんと言っても「わが道を行く」という方式だ。
しかしこれは国政責任者として非常に無責任で傲慢な態度だ。 30%台支持率は内閣制ならば辞職しなければならない水準だ。 しかもハンギョレの世論調査を見れば、去る大統領選挙の時李大統領を支持した33%の人々が、今選挙が行われるならば支持しないと答えた。 支持者3人の中すでに1人が離脱したわけだ。 それでも今までの国政運営基調をそのまま継続するということは、主権者である国民の意思を徹底して無視することだ。
傲慢を捨てて国政の基調を変えてこそ
李大統領にはまだ4年の任期が残っている。 今からでも誤りを正して新しい出発をすれば、歴史の前に約束した「国民成功時代」を開くことができる。 李大統領は、なぜ失敗することが明らかである道に固執するのか。 先進化へ進む第一歩は、独善と傲慢を捨てて国民の声に耳を傾けることだ。 分裂ではない統合の政治を咲かせてこそ、現在の経済危機も克服することができる。