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[パク・ノジャ コラム] 中東革命の本質

原文入力:2011-02-27午後07:30:40(1739字)

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今この文を書く瞬間に世界史が新たに書かれているとはっきり感じる。 数十年間にわたり中東民衆を抑圧してきた、最近まで強固と見えた独裁が今や一つ二つと崩れたり大きく揺れている。 山火事のように燃え広がったこの同時多発的で連続的な民衆蜂起を何が触発し、その本質は何なのか? 貧困に対する絶望か、あるいは民主化に対する熱望か?
慢性的貧困に対する絶望から沸き出る抵抗という側面もあるが、今回の革命らが最も激しく起きている国々の中には典型的 "貧困国" とは全く異なる国々もある。例えば、今この瞬間に戦争を彷彿とさせる程の蜂起が起きているリビアの場合には、1人当り名目国民総生産が約9000ドル程度になる。これはポーランドやチリと同じ水準だ。革命のもう一つの中心であるバーレーンは1人当り名目国民総生産がなんと約1万9000ドル、すなわち韓国と似た水準だ。

もちろん革命が起きた国々の中にはエジプトのように貧困率が40%に達する所もあるが、革命加担者は必ずしも貧民ばかりではなかった。 むしろ現地基準で見た時には貧民とは言えない20~30代の高学歴会社員たちの熱情的参加が眼に触れた。世界的凶作とロシアからの価格の安い穀物輸入中断などが中東のパン価格を暴騰させ革命を触発したということも事実だが、それだけでは中東革命を説明するのは難しい。食糧価格の上昇は中東だけでなく南米から東ヨーロッパまでの準周辺部地域を全て強打したのに、なぜ、よりによって中東から民衆蜂起が起きることになったのか?

"経済"も蜂起を触発するのに一役を買ったが、一次的に民衆の怒りは公共性の破片もない政権に向けられたものだった。もちろん中東の政権らの非民主性から問題になったが、民衆が "民主主義剥奪" だけに腹が立ったわけでも決してなかった。 怒りの標的となったムバラク政権の場合なら その非民主的誕生よりもごく少数だけを肥らせ多数を疎外させる新自由主義的 "改革" で民衆の怒りを作り出した。

去る6年間、エジプトは(主に投機資金で構成された)約400億ドル程度の外資誘致に "成功" したが、外国投資家らが配当金を手に入れても一銭の税金も出さす、いくらでも "食い逃げ" しても問題ない構造の中では、外国資本とごく少数の国内財閥・官閥らが裕福になればなるほど民衆の剥奪感は大きくなっていった。 政権は選挙を通じて誕生しようがそうでなかろうが国内人のための働き口創出や福祉政策が殆どない中で、国内外資本の利益だけを追求すれば結局は革命を呼び起こすほかはない。

韓国はどうなのか? 私たちに制度的民主主義はたとえあっても、果たして公共性の強い国家と言えるだろうか? たとえ1人当り名目国民総生産がエジプトより約9倍も高くても、国民総生産に占める国家支出の比重は韓国もエジプトも同じように非常に低い33%に過ぎない。すなわち韓国はエジプトと同じ程度に少数富裕層からまともに税金を徴収することもできず、その税金を福祉を通じて再分配することもできないということだ。

韓国でもエジプトやチュニジアのように零細業者たちが続々と倒産している。北アフリカの国家らと同じように彼らをきちんと見守る何の福祉網も存在しない。韓国の保守主義者らは北韓や中国で中東と同じ形の革命が起きることを期待する表情だが、韓国の支配者には今日、中国共産党指導部のような福祉網拡充に対する情熱も見られない。また、一方では北韓のような強力な反帝民族主義イデオロギーで多数の住民たちを結合させることができるわけでもない。

韓国でこそ老後の不安な正規職、雇用が不安な非正規職から非正規職にさえなりにくい青年たちまで、労働者と零細民らが "自由貿易" の妄想を捨て、福祉網をしっかり作る "公共性の強い国家" 建設を大きな声で要求しなければならない時かも知れない。

ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

原文: https://www.hani.co.kr/arti/SERIES/68/465554.html 訳J.S