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[朝の陽射し]大運河亡霊が消えない理由/チョ・ホンソプ

原文入力:2010-08-19午後10:34:43(1747字)

←チョ・ホンソプ環境専門記者

4大河川再生事業が大運河事業の前段階ではないのかという古ぼけた疑惑が再びよみがえっている。大統領の口から2回も "しない" と言ったのに疑いが静まるどころかより一層深まっている。
特に<文化放送>‘PD手帳’の‘4大河川水深6mの秘密’編が放映保留され「いったい何の内容だからとしてここまで隠そうとするのか」「運河なのではないか」という声が高まっている。PD手帳インターネットサイト掲示板に去る17日夜中に上がった2000件を越える視聴者意見には、市民が感じた怒りと虚脱感がそっくり含まれている。これらは「これは見ろ、とか見るなと言われなければならない程に視聴者はバカではない」と悔しさを爆発させるかと思えば「この国が恐ろしい」「1980年代に戻るようで涙が出る」と吐露することもした。

政府は 「秘密チームはなかった」「水深6m以上の区間は全体の26.5%だ」というなど、解明にありったけの力をふりしぼっているが、論難を静められそうにはない。なぜなら4大河川をなぜこのように深く掘り、高い堰で塞がなければならないかという根本的な質問に政府は一度も説得力ある答を出すことができていないためだ。

大規模堰と浚渫は当初4大河川事業の内容ではなかった。2008年12月15日、国家均衡発展委員会で国土海洋部長官が大統領に報告した4大河川再生プロジェクトには市民が水遊びできる水深1~2mの自然型石堰を設置する計画だった。浚渫は堆積の激しい区間に限定されていた。事業の核心は中小規模ダムと貯留池の建設であり堰と浚渫は補助手段に過ぎなかった。

しかし翌年4月に初めて姿を表わした4大河川再生マスタープランで4ヶの自然型石堰が16ヶのダム規模堰なり、浚渫量は3倍に増えた。政府は事業を具体化する過程で若干の変化があったように言うが、実際には事業内容が根本的に変わったのだ。密室で起きたこの変質過程に疑いを持つのはむしろ当然のことだ。

なぜ川をこれほど深く掘るのだろうか。専門家たちは川底を掘る洪水対策は世界のどこにもないと話す。政府は気候変化に備えるためだと言う。予想を跳び越える洪水と日照りに備えるために‘水器’を大きくするということだ。こういう解明は去る10年余りの間、苦労しながら仕事をして治水政策を先進化した同僚公務員に対する冒とくだ。気候変化要因はすでに10余年前から政府自ら水資源政策に反映してきた。

我が国の治水政策は1990年代末に転換期を迎えた。京畿北部地域で1996年、1998年、1999年と連続で起きた最悪の洪水が契機だった。500年に一度と言われる大雨が一年おきに降り漣川ダムが崩れた。

政府は1999年に大統領府に水害防止対策企画団を設置し、治水計画の全面的な再検討に出た。その核心は堤防から流域へ、線から面への転換だった。河川本流で堤防だけで洪水を防ぐことが不可能なだけに、上流から治水専用ダムや川辺貯留池などを作り流域次元で洪水を分担しようということだ。洪水と戦わずに場所を選んで戦略的に負ける選択的洪水防御戦略も採択された。

こういう認識を土台に各種の中長期治水計画が最近まで樹立された。4大河川事業は10年余りの間に構築した新しい治水体系を一日で1990年代以前に戻している。
日照り対策も同じだ。山間農村と海岸・島嶼地域に起きる日照りを4大河川本流に水を閉じ込めてどうするというのか。昨年、国会立法調査処が開いた討論会で4大河川マスタープラン作成責任者が行ったという「(水不足量に合わせて浚渫したのではなく)浚渫した結果、10億立方Mの水が確保された」という言葉が的を射ている。

それなら洪水も日照りも解決してくれない大規模堰の建設と浚渫に、なぜ固執するのだろうか。運河の亡霊はこの地点にとぐろを巻いている。

チョ・ホンソプ環境専門記者 ecothink@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/435934.html 訳J.S