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[寄稿]‘チョン先生’を保護して下さい/チェ・スンホ

原文入力:2010-04-25午後06:58:19(1610字)

←チェ・スンホ文化放送プロデューサー

"最後に家族に電話一通だけするので席を外して下さい。"

拘束執行停止取消可否を決める法廷に向かい出発する直前‘チョン先生’がそばにいた取材陣に要求した。私は重い気持ちで取材記者たちと共に席を外した。放送で検事たちに対する饗応と性接待を暴露したという理由で、彼は拘束される状況に置かれたのだ。1~2分も経ったろうか? "何があったんだ?" チョン先生のそばを守っていた親戚の兄さんの断末魔の叫びが聞こえた。<PD手帳> ‘検事とスポンサー’編の重要取材源であるチョン先生が服毒自殺を図った。

放送日が近づくほどにチョン先生は不安と苦痛を訴えた。彼は放送が家族に与えるかも知れない苦痛を恐れ、彼自身も再び拘束されるかも知れないという事実に対して憂慮した。釜山地検は弁護士法違反疑惑で拘束され、裁判を受けている間 拘束執行停止で解放され治療を続けてきた彼を再拘束するための措置をとっていた。

理由は<PD手帳>とのインタビューであった。両側足首と膝の疾患で人工関節手術を受けるなど色々な病気で一日に数十粒の薬を飲み辛うじて維持しているチョン先生は再び拘束されるよりは死ぬのがマシという訴えを繰り返していた。

放送がされるという予告以後、疑惑を受けた検事たちは一部言論を通じ深刻な名誉毀損を犯した。すでに<PD手帳>取材過程で彼を精神異常者とまで呼んだことのある一部検事たちは、犯罪者,詐欺師など動員できるすべての用語で攻撃した。

反面、彼ら自身の疑惑に対しては証拠と証言があるにも関わらず否認で一貫した。そして放送後、検察は真相を糾明するとしながらも、他方ではチョン先生を再拘束するとして出た。これが何を意味するのであろうか?

私は検察が真に真相究明の努力を認められようとするなら、今後の調査過程で核心的役割を果たすチョン先生を圧迫しようとする姿勢を改めなければならないと信じる。主要調査対象者がほとんど疑惑を否認する状況で、饗応と性接待の実体に接近する最も重要な端緒はチョン先生の記憶だ。チョン先生はすべての饗応および性接待疑惑対象者らとの対面尋問を望み、嘘発見器調査を望むと話したことがある。

こういう調査を可能にするなら、彼が心より検察の努力を信頼できる環境を作らなければならない。拘置所で毎日毎日、身体的・精神的苦痛に苦しめられ、調査に協力しろということがひょっとして苦痛に疲れ真実糾明を放棄させることでないのか、検察は深刻に考えてみなければならない。
チョン先生ばかりでなく他の証言者も放送後に電話をかけてきて不安を訴えた。検察に不利な事実を放送に打ち明けたことが、どんな方法ででも不敬罪にかからないか心配していた。私は国民が見守る中でそのような事があるかと話したが、内心では自信を持てなかった。

前職大統領でさえ不幸に見舞われるのに、何の力も持たずに歩けば引っかかるほかはない彼らは話すことがあるだろうか。私もやはり最近、検察捜査過程を取材し人権侵害と見られる色々なケースを確認したことがあるので、より一層心配が大きい。

チョン先生は現在、釜山のある病院の集中治療室に隔離されている。死の門の敷居まで行った彼が、また頑張って検察という万能権力機関の問題を証言することができるだろうか? 彼が放送で行った最後の呼び掛けのように国民が彼を保護することを切実に望む。

暴露をしなかったとすれば、より安らかな生活を送ることができた筈のチョン先生と彼の家族に力を寄せられることを願う。

チェ・スンホ文化放送プロデューサー

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/417696.html 訳J.S