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[クォン・テソン コラム] 日本の選択,韓国の選択

原文入力:2010-01-12午後07:19:57

←クォン・テソン論説委員

 "日本には全てのものがある。ただし希望がないだけだ。"
日本の著名な作家、村上龍は方向舵を失い漂流する日本をこのように嘆いたと言うが、昨年の歴史的な政権交替以後、日本社会には新しい希望が芽生えているようです。日本の未来を問う討論が活発に展開され代案を探す本もあふれています。

現在の状態が続く場合、経済規模が2050年には世界10位圏に墜落しかねないという警告が出てくるなど危機意識が高いが、まさにこの危機にこそ国家の枠組みを変えることができる機会という共感もやはり広がっています。低出産高齢化,青年失業,非正規職量産,社会的格差拡大など、日本社会を固く締めつけている問題を解くために代案を探す人々は、米国式市場原理主義と土建事業に頼ってきた既存路線からの革命的転換が必要だと口をそろえます。執権民主党が掲げた‘コンクリートから人へ’という旗じるしはそのような変化の新たな指向点として受けとめられています。

日本の発展経路を歩んできた我が国もやはり日本と同様な問題に直面しました。そのような点で危機を持たらした原因に対する分析と代案に対する日本社会の議論を調べることは私たちに役立つことができます。例えば1990年代の経済危機に対する日本とデンマークの対応差に現在の危機の原因を求める上野千鶴子東京大教授の指摘がそうです。

デンマークは経済危機で失業率が高騰するや柔軟安全性という新しい枠組みを開発しました。雇用市場の柔軟性は最大限保障するものの、労働者の生活安定は国家が責任を負うシステムです。雇い主は労働者を簡単に解雇できるが、解雇された労働者は4年間保障される失業保険で生活の安定を維持し、多様な職業訓練を通じて簡単に再就職ができるようになりました。また賃金と福祉で正規職と非正規職の差別をなくし女性の就職を促進し、それがまた新たな保育労働の働き口を創り出すという好循環構造を産みました。そのおかげで失業率は10%台から5%以下に落ち、女性の就職率も80%台に肉迫し男性と同等になりました。(我が国の女性就職率は50%を少し越える) 柔軟な労働時間と保育労働の社会化のおかげで80年代に1.4に留まっていた出産率も1.94に高まりました。上野教授はこれを良い柔軟化といいます。

日本もやはり同じ時期に柔軟化に出ました。しかし起業するのに良い環境を叫び、解雇の自由を与え解雇者らのための社会安全網用意は粗雑にしました。きめこまかい社会安全網を構築しようとすれば税収増大が必要だったのに、政府はむしろ所得税累進率を低くし法人税引き下げを継続しました。正規職と非正規職の差別は拡大し、非正規職に布陣された女性は低賃金労働者群を形成することになりました。悪い柔軟化です。その結果、社会的格差が拡大し経済協力開発機構会員国の中で5番目に貧困率が高い国に転落しました。人生の不安定性が増大し低出産問題もやはり解決の兆しが見られません。

今や日本はこの身動きできない罠から抜け出すために人間と友愛を語り始めました。人を中心に置き連帯の意識を回復しなければ危機から抜け出すことができないという社会的共感が作られたのです。

私たちが経験した過程も日本と大きく異なりません。しかし、わが政府は未だ土建立国の迷妄から抜け出せずにいます。また世宗市に対する決定に見られるように、私たちの社会を固く締めつけている社会的・地域的格差の深刻性もまともに認識出来ずにいます。これだから村上龍式の嘆きがひとりでに出てこざるを得ません。"韓国には全てのものがある。ただし希望がないだけだ。"

クォン・テソン論説委員kwonts@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/398443.html 訳J.S