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[社説] 龍山惨事, 真の解決は今からだ

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/396388.html

原文入力:2009-12-30午後09:36:54

龍山惨事交渉が妥結した。惨事が起きて何と345日ぶりだ。その間に季節は真冬の厳しい寒さから春,夏,秋をすぎ再び真冬に変わった。遺族たちが流した悲嘆の涙は川を作り、嗚咽とため息は山と積もった。それでも宗教界をはじめとする各界の努力が無駄にならず交渉が年を越さずに妥結したことは幸いだ。何よりも、この間葬儀さえ行えずに九泉(黄泉の世界)を飛び交った犠牲者たちの魂が安息を得られるようになり少なくとも心の荷物は軽くなった。

だが交渉妥結を喜ぶにはまだ早い。この事件は私たちの時代に政府とは何か、この社会に最小限の正義や良識が存在するのかをもう一度振り返らせた。龍山惨事の本質は再開発で生活の基盤を失い追い出されることになった撤去民の抗議デモに警察が十分な事前対応もなしに無謀に鎮圧作戦を展開したために6人の人命を奪い取ったということだ。公権力乱用に対する痛烈な反省と再発防止の約束は為政者の当然の義務であった。政府がこういう認識の下に遺族に少しだけの誠意を見せたとしても龍山惨事はとうに解決されてあまりあった。だが政府は徹底した無関心で遺族を疲れさせる非情な戦略を駆使した。惨事の責任はすべて撤去民たちのせいに押し付け、当時の警察最高責任者は政府系団体の高位幹部として華麗に復帰した。

チョン・ウンチャン国務総理は昨日「このような残念なことが発生したことに対し総理として責任を感じる」とし「遺族の皆さんに深い遺憾の意を表わす」と明らかにした。当初、遺族側から提起した政府の謝罪要求を自ら受け入れた結果だ。事件発生当時、ハン・スンス総理が「不法暴力行為はどんな場合にも決して容認できない」と冷酷な立場を明らかにしたことに比較すれば、はるかに進展したものだ。だが ‘遺憾’ という表現が表す様に心からにじみでる真の謝罪や悔やみは伺えない。このように政府の責任を率直に認めない態度で果たして公権力乱用の輪を断ち切れるか疑わしい。惨事は未だ解決されていない。

龍山惨事犠牲者の葬儀日程や補償問題などが妥結したとは言うものの、これで今回の事態が終わることはできない理由がここにある。むしろ今からが始まりだ。何より重要なのは正確な真相究明だ。現在、検察は裁判所の命令を拒否してまでも捜査記録1万余ページの内3000余ページを公開していない。こういう非常識な状況をそのまま放置する限り、龍山惨事に終止符を打つことはできない。第2,第3の龍山惨事を防ぐための法と制度の整備もまたこれ以上先送りすることのできない課題だ。再開発・再建築を巡る葛藤の火薬庫は今も全国各地に散在している。政府の全面的な認識転換を繰り返し促す。

原文: 訳J.S