原文入力:2009-12-29午後10:25:31
いっそ法治主義を強調しなければ良かった。親庶民という話も口にしてはいけなかった。イ・ゴンヒ前三星グループ会長に対する昨日の赦免決定はイ・ミョンバク大統領がこの間してきた原則と基準の虚構性をそっくりそのまま現わした。ただ一人のために用意した特別赦免の恩恵授与の前に、国の品格も地に落ちた。三権分立,法執行の公平性,法の前の万人平等などわが国社会を支えてきた大切な価値も光を失った。
赦免権がたとえ大統領の固有権限だとしても、その権限の行使は厳格且つ慎重でなくてはならない。きわめて例外的な場合に限り、非常に制限的に行使しなければならないということは常識だ。しかしイ大統領はその権限をあたかも財布の中の手玉のように考えた。
より一層憂慮するのはイ大統領の猪突的な突進だ。アラブ首長国連邦原子力発電所事業の受注成功から始まった浮き立った成就感の勢いに乗り右往左往せずに ‘宿題’ を片づけてしまった。赦免を発表し国民の利害と同意を求めるいくつかの節の話を付け加えることさえ無視した。‘有銭無罪無銭有罪’の虚脱感に陥った庶民の情緒をなだめようとする最小限の努力もしなかった。赦免を巡り誰が何を言おうが何一つ動じることはないという傲慢さと傍若無人の態度が感じられるだけだ。それでもイ大統領はまた無力な庶民に ‘君たちは法をよく守らなければならない’ と脅すことは明白だ。大統領のその当たり前のような二重定規が絶望的だ。
イ前会長赦免の周辺には ‘取り引き’ の影もちらついている。イ大統領が明らかにした赦免の公式的理由は平昌冬季オリンピック誘致を助けるためだ。平昌オリンピック誘致に成功すれば、イ大統領としては ‘政治功績リスト’ がもう一つ追加されので興味をそそられることはわかる。だがイ前会長がすでに2度も猛活躍をしたのに、続けざまに失敗したのが平昌オリンピック誘致だ。彼が再び飛び込むといっても必ず成功する保障はないという事実をイ大統領も知らないはずがない。
むしろ関心を引くのは三星が ‘報恩’ のために出す反対給付の内容に集中する。かなり以前から市中には、三星が政府の食欲を引きつける色々な提案を出しイ前会長赦免のために奔走しているという噂が盛んだった。三星の世宗市移転説などもその内の一つだ。もちろん三星が反対給付提供を約束したと言っているわけではない。それは時間が過ぎれば自然にあらわれるだろう。もしイ前会長の赦免が取り引きの結果ならば、これは簡単に見過ごすことは難しいだろう。赦免権を政権の核心事業を実現するための小道具として利用したことになるためだ。果たして何のための赦免なのか、国民皆が見守るだろう。
原文: 訳J.S