原文入力:2009-12-17午後09:42:55
←チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授
世界最高層ビルディング‘ブルジュ ドバイ’,砂漠の中の屋内スキー場‘スキードバイ’,海中人工島‘パーム アイルランド’のきらびやかさの後に隠れていたドバイの実体があらわれた。かつて進歩と保守には関係なく多くの専門家たちはドバイの経済成長は、深刻な労働搾取,途方もない借入投資,大型建設中心の成長などを基礎に作られたバブルだと指摘し、韓国がドバイをモデルとしてはならないと警告した。
ところが、イ・ミョンバク大統領は大統領選挙候補時期からドバイを見習おうと力説した。“ドバイでは国王が企業家と直接 携帯電話で通話していたよ”,“セマングムを東北アジアのドバイに育成する”,“ドバイは砂漠を掘って運河を作る”などの発言を乱発し、自身が推進する各種政策を正当化してきた。イ大統領はドバイ実権者であるシェーク ムハマドとの親密な縁を誇り、彼の指導力を見習わなければならないと強調し、ドバイで要職を引き受けていたデービッド・エルドンを大統領職業務引継ぎ委員会の国家競争力強化特別委員会共同委員長に任命した。
事実、保守勢力の大多数がドバイで<アラビアンナイト>の魔法のランプを見つけることができるという幻夢に酔っていた。<朝鮮日報>の記事のタイトルを借りれば“イ・ミョンバク政府コードはドバイのように”だった。政・官・財界の最高位級要人たちが聖地巡礼をするかのようにドバイを訪問し、ドバイ賛歌を歌いまくった。保守言論はドバイを盧武鉉政府を批判する素材として用いた。議会も投票もなく、いくつかの王族が権力,富,意志決定を独占し、企業規制は全てなくし賃金は極く低水準を維持し、労組も労働争議も禁止して成長を追求する国がそんなにもうらやましかったのだ。
今や私たちの社会にドバイを見習おうという声は落ち込んだ。しかしドバイを没落に導いた思想と政策は、形を変えて再生産されている。ビジネスフレンドリー,金融規制撤廃,金持ち減・免税,労働抑圧,大規模土木・建築工事等を通じた成長という‘黒魔術’の呪文と共に。
ところでイ大統領の胸中にはまた別の夢の国がある。彼はソウル市長時期“シンガポール ファン”を自認し、政府と民間が共に“シンガポールの先進化された競争力”を見習わなければなければならないと力説した。シンガポールの二重言語政策を見習わなければならないという彼の信頼は“オーリンジ”波動に象徴される英語没入教育騒動で発現した。一方‘MB印 法治’もシンガポールからの輸入品だ。シンガポール政府は巨額の名誉毀損訴訟で国家指導者や政府批判者を破産させることで悪名高いが、パク・ウォンスン弁護士など批判者に対する政府の訴訟はここに見習ったものだ。政府は都心集会・示威を禁圧し、市郊外周辺には‘平和示威区域’という見た目の良い場所を作ったが、これまたシンガポールの‘スピーカーズ コーナー’を模倣したものだ。労働争議を犯罪視し、労組と労組幹部に‘お金爆弾’を投げる労働政策、国際社会の人権改善勧告を完全無視する政府の態度もシンガポールを真似た。
イ大統領の他にも執権勢力内にはシンガポール崇拝者が夥しい。ところで、これらは以上の点の他にも事実上の一党独裁,少数エリート集団による権力および富の独占と世襲,強力な言論および労働統制,人口対比世界最高の死刑執行率などのようなシンガポール現象までも我が国に実現しようとする夢を見ているかもしれない。
利潤,効率,秩序,上司の命令への服従を至高至善の価値と考える権力者や企業家には、ドバイやシンガポールが‘地上の楽園’であろう。しかし、その‘楽園’は持続可能な‘楽園’ではなく、韓国民主主義が決して容認できない“あなた方の天国”だ。また、民主,人権,公正,疎通の価値を大切にする人にその‘楽園’とは‘八熱地獄’であるだけだ。
チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/394078.html 訳J.S