原文入力:2009-10-12午後09:06:41
パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学
最近国内政治を見まわすと不思議な面があるという気がする。一面では、各種社会的格差が継続して大きくなるばかりだ。経済成長が止まった大韓民国で、引き続き成長しているのは15%に達した後にも止まることなく高まるばかりの相対的貧困率だけだ。少数の富裕層を除けば、大多数の韓国人は「暮らしがあまりにも大変で疲れる」と異口同音に話す。この中でも特に貧困率がすでに40%近くになる老人層や失業率が去る1年間に約30%も急増した最近の大卒者など若年層はすでにまるで‘第3世界’と違うところのない、希望の見えない世の中を生きている。高成長時期に少数のエリートを除く多数のサラリーマンと自営業者間の所得不平等がそれほど激しくなかった韓国社会の不平等指数は、今や米国や中南米の水準だ。こういう時に現政権が金持ち減税実施まで急き立てて、これが江南共和国の政府なのか大韓民国の政府なのか分からないと話すほどでもある。
しかし、また一方では格差社会を深化させていくイ・ミョンバク政権の支持基盤は順次固まっている感じだ。支持率が40~50%を行ったり来たりしている事実は、一時イ・ミョンバクをそれほどありがたくなく見た数多くの‘中間保守指向’の人々が、今や彼を支持することになったということを意味する。
恐慌の惨景の中での極右政権の人気上昇、その秘訣は何か?
不思議に見える側面もあるがイ・ミョンバク政権が安定軌道に進入したのにはそれなりの理由はある。
最初に、彼らは本質的に江南共和国の首長層に間違いないが、江南共和国領土の外側の色々な中間集団とも‘連帯’できる人々だ。例えば建設規制の緩和と巨大型土建プロジェクト進行,低金利政策等を通じたイ・ミョンバク政権の「住居価格支え」という一次的に江南貴族らの資産価値を守る政策だが、これと同時に住宅を所有している55%の韓国人らにもそれなりの訴求力を持つ。もちろん、その政策の裏面に高くなった不動産貸切保証金を泣く泣く捻出しなければならない45%の無住宅者の苦痛もあり、1990年代の日本と同じ不動産バブルへの陥穽と全体的景気崩壊の大きな危険性もかくれている。ところが窮極的に土建主義が国を滅ぼすとしても、今直ちに住宅所有者階層の相当部分はイ・ミョンバクの“土建型ケインズ主義”を良しとしなければならないということだ。
第二に、国内の極右・保守ブロックはイ・ミョンバクのポピュリズム、すなわち反北韓主義イデオロギーという理念的‘コード’も共有する。もちろん、彼の近視眼における反北韓主義は土建主義に決して劣らない。盲目的反北韓主義が北韓に対する中国の影響力が継続的に増強されうる条件を作り、北韓支配階級の中での強硬派の位置を強化させるだけだ。北韓の軍事主義的強硬路線が結局は韓国での兵営社会持続と日本の保守化危険を意味するが、「アカの乞食の群れになぜお金をばら撒くのか」という末梢的経済主義に陥った韓国の自己満足的保守層にこれを説明するのは難しい。貧しい同胞に対する蔑視混じりの嫌悪とアフリカで大型農場を買い‘海外食糧基地’を作るほどの国力を育てた我流帝国大韓民国に対するショービニズム的‘誇り’こそがイ・ミョンバク極右・保守ブロックの中心的な情緒的コードだ。
これとよく似た精神状態を誇示した日本自民党の極右・保守ブロックが今回の総選挙で崩壊したように、イ・ミョンバクの保守大連合も長期的低成長の重みに耐えられずに結局は崩壊することが間違いない。ただし、そうなるまで韓半島の自然と労働者,庶民が如何に多くの苦痛にあわなければならないのかを考えると途方に暮れる。
パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/381551.html 訳J.S