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[社説] ‘人生は美しく歴史は発展する’

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/372503.html昨日公開された金大中前大統領の最後の日記は深い感動と響きを持って私たちに迫る。その中には夫人に対する切ない愛情表現も含まれており政局懸案に対する思慮深い評価と診断も入っている。政府に向けた批判と警告のメッセージも随所に見られる。命を終えるその瞬間までも民族に対する心配の荷を下ろさなかった故人の国を愛する思いが驚異的だ。

何よりも濃い響きを与えるのは、現代史の足かせを全身で突き抜けて来た闘士の人生の裏面に隠されていた人間的体臭と容貌であった。‘終日妻とともに家で過ごした。二人でいることがうれしい。’ ‘美しい花の季節であり薫風の季節がきた。花をたくさん見ていたい。’読む人の口元に微かな笑いを贈ってくれる文たちだ。人生に対する敬けんな姿勢,人生に対する深い省察もあちこちに発見できる。‘人生はどれだけ長く生きたかが問題ではない。どれだけ意味があって価値あるように生きたかが問題だ。’ ‘孫に私の一生について話し、隣人愛と信頼が人生の核心であることを強調した。’ 特に“からだは老い病に犯されても力が及ぶところまで献身努力する”という一節は読む人の襟を正させずにおかない。

それでも最も注目される部分はどうしても現政権に対する強い批判を入れた一節らであろう。‘盧大統領の自殺は強要されたも同じだ。’ ‘龍山で5人が死んだ。真に野蛮な処置だ。’ ‘今後も政府が強圧一辺倒に出て行くなら大きな変を免れないだろう。’ 故人のこういう批判は事新しいものではない。民主主義の後退と南北関係の危機などに対してはすでに生前に演説と言論インタビュー等を通じて何度も指摘したことがある。それでもこの日記の内容が改めて迫ってくるのは私的な記録の日記を通じても確認される故人の真正性と切迫感のためだ。そのような批判がどれほど胸中深いところからにじみでたものかを日記は鮮やかに見せる。イ・ミョンバク大統領をはじめとして、現与党がこの日記を重く受けとめなければならない所以もここにある。

今回公開された日記は全体100ページ分量中の30ページ程度という。未公開の部分にはより一層敏感な内容が含まれていると知られている。残りの部分まで公開されれば、政治的波紋がより大きくなるという観測も出てくる。与党としては困惑することこの上もないだろう。だが重要なのは日記内容の爆発力や波紋ではない。私たちの時代の最も尊敬を受ける政治家であり国家元老である故人が、真に心配したものが何だったか、国の将来のためにどんな忠言をしたかを見回すことがさらに重要だ。そして故人の忠告と指摘を国と民族の発展のためのエネルギーに昇華させなければならない。故人が残した ‘人生は美しく歴史は発展する’ という警句は与党にも適用される。

原文: 訳J.S