政府の前向きの措置は歓迎するに値するが、新しい制度施行を控えて憂慮される点がある。第一に財源調達問題だ。新しい学資金貸出制度の成功可否は莫大な財源をどのように用意するかに掛かっていているが、これに対する政府の具体的な青写真が見られない。単に政府保証で韓国奨学財団が債権を発行し貸出金財源を調達するという大きい枠組みが提示されただけだ。関連部署らが深く協議をした跡もそれほど見られない。最近イ・ミョンバク大統領が強調する‘親庶民政策’に歩調をそろえてとても急いで発表したのではないかという感じがする。
授業料貸出に劣らず重要なのは学資金の融資を受けた若者たちが卒業後に背負い込むことになる負担を最大限に減らすことだ。そうでなくても経済状況も難しいのに、これらが一生涯借金返済に苦しむ境遇に陥ってはいけない。そのためには貸出利率を大幅に引き下げる必要がある。今の展望では利率が年5%後半程度に策定されると予想されるが、これはオーストラリアやオランダなど同様な制度を施行している国々よりはるかに高い水準だ。
イ・ミョンバク政府は当初‘半額大学授業料’を大統領選挙公約に掲げたが、いつのまにかこの政策は失踪してしまった。今回の学資金貸出制度改善案は半額授業料公約を公式に廃棄し‘キジの代わりに鶏’を選択したものだと見ることができる。だが今回の措置で大学授業料はむしろより一層急騰する憂慮さえある。学生たちが授業料の心配をしなくなれば大学は道徳的に緩み安心して授業料を引き上げることができるためだ。
新しい制度では授業料が引き上げられれば、国家財政運用にも大きな圧迫要因になる。最小限‘授業料上限制’等を導入し、適正な線を引く必要がある。登録料引き下げと教育財政拡充などの根本的な対策なしに学資金貸出制度にだけ寄り添う場合、また別の問題にぶつかる可能性があることを政府は分からなければならない。
原文: 訳J.S