原文入力:2009-07-26午後09:09:08
←ムン・ジョンイン延世大政治外交学科教授
去る7月16日付主要日刊紙各紙に、とても奇怪な5段ビラ全段広告が大々的にのせられた。‘自由主義進歩連合’という団体の創立を知らせるこの広告は「自由主義が真の進歩だ」と宣言し、民主党,進歩新党,民主労働党,民主労総,全教組,進歩連帯など全てを既得権に安住する守旧勢力とまとめて批判した。またこの広告は「従北主義者,似非民主主義者などが詐取して行った‘進歩’の意味を奪還するための戦いの開始」を意味深長に知らせている。
保守の‘進歩奪還戦’は去る4月パク・ヒョジョン教授を中心にすでに宣言された。パク教授は正名論云々して「憲法的価値に対する尊敬心もなく世界史的流れや時代精神に逆行する」そして、進歩の名に相応しい行動もできない親北左派勢力を「‘進歩’と呼ぶならば、それは‘黒い白鳥’のような矛盾的表現の極限状態」と主張したことがある。
しかし、これらの主張と批判をよく見ると情けないことこの上ない。一体、何が進歩か? 進歩は2つの意味を持つ。1つは普通名詞としての進歩だ。これは与えられた社会現象に満足せずこれを不断に改善し前に出て行くことを意味する。保守陣営では意味論的混線を避けるために‘進歩’の代わりに‘先進’という用語を意図的に使ってきた。この場合‘進歩’という用語が‘詐取’されたと見ることはできない。
他の一つは固有名詞としての進歩概念だ。これは19世紀末から米国とヨーロッパで勃興した進歩主義から派生した概念で、資本主義深化と民主主義の既得権化にともなう各種矛盾と副作用を克服するための理念的・政策的対応と定義することができる。
したがって、進歩主義は国家介入を通じた市場失敗の校正,貧民救済,教育,医療サービスの普遍化等を通じた積極的社会政策展開,福祉を通じた成長の摸索,大企業の寡占防止,そして環境保護など、当時としては破格的な政策代案を要諦としている。これと共に既得権勢力の政治的独占現象を防ぐために一般市民の参政権拡大を擁護したし、労使政3者の新しい政治的協議体構成に力点を置いた経緯がある。これは今日、米国の民主党,ヨーロッパの社民党または労働党の政治綱領政策の基調となっており、このような理念的思潮を自由主義(liberalism)と称したりもする。
このように見る時、市場優先主義,小さい政府,減税と規制廃止を通じた成長などハイエクが主張してきた‘自由至上主義’(libertarianism)に理念的根拠を置いているニューライトとしては、上で議論した進歩主義は決して受容できないことだ。
ところでなぜ‘進歩’にこだわるのか。保守という用語が陳腐なこともあるが、それより重要な理由は韓国的保守と普遍的保守間の内在的相馳現象にある。これらがあがめる李承晩大統領と自由党は中小商人と労働者,農民の利益を代弁する進歩的理念路線を標ぼうしたし、これらのもう一人の英雄である朴正熙大統領もやはり自由至上主義または英米式保守主義を正面から否定する‘開発国家’モデルで経済成長を成し遂げた。ニューライトの悩みがまさにここにあるのだ。
しかし一つ明確にしよう。‘白い白鳥’だけを強調し、批判的な人々を‘従北主義者,似非民主主義者’として罵倒すると同時に、政権を執ったからと‘進歩’の名前まで一方的に変えようとする勢力、これらこそ‘開かれた社会の敵’である。もういい加減、正明とアカ攻撃の消耗的論争から抜け出し、謙虚な姿勢で疎通,和解,統合の新しい可能性を模索しなければならなくないか。
ムン・チョンイン延世大政治外交学科教授
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/367918.html 訳J.S