私たちはイ大統領が明らかにした庶民重視政策を歓迎する。一歩遅れてでも、経済運営基調を変え困難に直面している庶民の暮らしを抱いて家計の皺を伸ばすのに政策の優先順位を置くならば非常に幸いなことだ。世界的な経済難の中で最も大きい被害を受けているのが庶民であるだけに、庶民重視政策の重要性はいくら強調しても行き過ぎではないからだ。また大統領が直接現場に出かけ庶民の生き生きした肉声を聞くことも責める筋合いはない。
問題は大統領のこういう行動が単なる政治的ジェスチャーや局面転換用イベントに留まってはいけないという点だ。商人たちの手を握り、暖かい慰めの言葉をかけ直接売り上げを上げてくれるのも良いが、より一層重要なのは庶民のために内実のある政策を作って執行することだ。
だがこの頃、イ大統領の‘民生行動’は主目的が実質的な政策変化よりは‘イメージ転換’にあるのではという疑問を消しにくい。イ大統領の在来市場訪問はすでに7ヶ月前にもあったが、その後政府が取った政策を見れば‘庶民優先’という言葉が面目を失うばかりだ。その上、現状況について「政権のイメージが金持ち政権と間違って伝えられている」,「広報強化の必要性が切実だ」という大統領府関係者たちの診断が出てくるのも真正性を疑うようにさせる。金持ちに対する減税,不動産規制緩和など持てる者のための政策の本質的内容は変えないまま、イメージだけを庶民・中道に持っていこうとしているのではないかと疑われる。
はっきり言うが、イ大統領に今重要なのはイメージの改善ではない。庶民優先も中道強化論も同じだ。キム・ヨンガプ ハンナラ党常任顧問が適切に指摘した通り「民心離反は疎通不在,独走・独善,包容力不在,和合努力無視などで国民の心情をなだめられないため」だ。信頼の危機,真正性の危機に対する深い省察なしに単純に顔の化粧だけ直して国民の歓心を買おうとしても結局失敗することになっている。
原文: 訳J.S