原文入力:2009-06-25午後10:37:52
ク・インフェ ソウル大社会福祉学科教授
政界で所得両極化を巡って一度騒動が起きた。「新政府になって貧富格差が改善された」という政府人士たちのとんでもない主張に、野党の反論が続いた。分配改善の功績を占めようとする政治家たちの様子を嘲笑で済ますこともできようが、実際に滑稽なのは彼らの自画自賛が番地すらまともに探せないところにある。両極化緩和を政治的宣伝の種に使う前に事態の真実を物静かに見直すべきであった。
統計庁によれば2008年のジニ係数(0に近いほど平等,1に近いほど不平等を現わす所得不平等指数)は0.31程度で2007年と似た水準を示した。参加政府の時に継続して不平等が少しずつ悪化する傾向だった点を考えるならば、新政府で不平等数値が大きくならなかった点を前面に出したい心も分からないではない。だがジニー数値一つで両極化緩和という結論を下すのはあまりに性急だ。また両極化が少しでもやわらいだとするならば本来急がなければならないことはその理由を確かめてみることではなかっただろうか?
最近私たちの社会の両極化傾向は市場不平等と政府福祉支出間の駆け足競争の結果とも見ることができる。2003年から2007年に至る参加政府期間、継続して市場所得の不平等は悪化したし、こういう傾向は2008年にもそれほど緩まなかった。市場不平等の増加に対抗して、参加政府は福祉支出を着実に増大したが、いつも市場不平等の増加速度より一歩ずつ遅れた。市場両極化を圧倒する程に果敢に福祉を拡大できなかったし、参加政府は執権期間ずっと両極化責任論に苦しめられた。
2008年に入り、両極化が緩む兆しが現れたとすれば、その理由は何だろうか? 走り競争でずっと遅れをとった政府支出が市場が押し通す不平等の力に少しずつ追いつくことになったためだ。事実、参加政府は執権後半期に両極化との戦いで称賛を受けるに値する行動をたくさんした。2008年に実施された基礎老齢年金や老人長期療養保険のような大型制度らが皆参加政府が成し遂げた結実だ。今年の下半期に初めて支給される勤労奨励税まで考えればその成果を無視することはできない。政府の人々は分配改善の兆しが新政府にはいって現れたという点を前面に出す。だが2008年政府支出が前年度に参加政府が編成した予算が執行された結果だという点を知っている人は皆知っている。したがって2008年に少しでも分配状態が良くなったことがあるならば、それは参加政府の功績に回すのが当然だ。
ところで政府は所得両極化にクツワをはめることに果たして成功したのか? 去る10年余りの大きい流れを眺めれば、不幸にも現実はその反対だ。政府が参加政府より上手にしたと言って功績を争うその瞬間に韓国社会は国民100人中15人が貧困のくびきの中に暮らしており最大規模の貧困現実に直面している。 90年代中盤に10%を越えなかった貧困層(中位所得の50%未満階層)が外国為替危機を経た2000年には13%に跳ね上がり、2008年にはまた15%を越えた。目の前の未来はより一層心配だ。今年に入り平均世帯所得は減少し始め、特に下位階層の所得が大幅に減った。さらに臨時・日雇いの失職と零細自営業者の破産が続いている。
所得減少と不平等悪化,貧困増加が一度に集まる悪性両極化がどこまで駆け上がるのか計りにくい状況だ。分配改善のための政府財政の役割がこれほど切実な時があるだろうか? ところが、政府は減税と財源減少とで自ら武装解除している。もう目を隠してアウン式の言葉遊び政治を止め真に庶民の暮らしを見守る政策転換を考える時だ。
ク・インフェ ソウル大社会福祉学科教授
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/362458.html 訳:J.S