本文に移動

[パク・ノジャ コラム]小貪大失という言葉を知っているか?

原文入力:2009-06-22午後09:04:19
←パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学

韓半島の安保問題が最近注目されるところとなり、ノルウェー言論から電話がしばしばかかってくる。普通、記者たちは北韓が核とミサイルに頼る‘理由’を尋ねてくる。記者たちに本人の考えがどうかと尋ねれば、大概は「米国の新行政府の関心を引くことと三大権力世襲過程で内部統合用」という返事が出てきたりする。もちろん間違った話ではない。

北韓対外政策の長期的目標は対米関係正常化と世界資本システム編入だが、ここで大量殺傷武器開発は米国の北侵略を不可能にさせる“保障”の役割と共に、米国を交渉のテーブルに引き出す“核心カード”の役割をしてきた。そして世宗大王艦の進水などが韓国で国家主義(“大韓民国主義”)情緒を煽ったと同様に、北韓でも軍事主義熱風は官製内部統合の手段として機能している。全国を兵営化させることにおいては北韓は韓国をはるかに凌駕するが、軍事主義的近代を克服できないということは両者の共通点だ。しかし北韓の最近の対外路線強硬化を単純に上で述べた二つの要因だけでは説明しにくい。筆者の考えでは、イ・ミョンバク政権の太陽政策放棄と一連の強硬策が北韓を刺激し強硬一辺倒の路線に押し出す上で大きい役割を果たしたのだ。

西側世界で北韓に言及する度に“威嚇”のような用語が直ちに登場するが、事実北韓は東北アジアの最弱体国に過ぎない。韓国と比較しても北韓の国民総所得は32分の1に過ぎず、貿易総額は167分の1だが、中国や日本のような巨人とは比較することすら困難ではないだろうか?

北韓の最後のカードは“軍事”だが、その軍費支出も世界11位の軍費支出国の韓国の約20%に過ぎない。この状況で1991年のソ連崩壊で過去の後援者を失った北韓としては新しい後援者を得るのは切実な課題だ。米国,日本との関係正常化に相当な努力を傾けても、本意と違って“いじめ”を受ける北韓が1999年以後から韓国の太陽政策を大歓迎し、南北協力増進に情熱を見せた背景はまさにここにあるのだ。

韓国が1970年に日本資本を引き込むために馬山などに設置した輸出自由地域と形の似た開城工業団地を作るのは今まで韓国を“貧しい米帝植民地”と話してきた北韓としては自尊心をたたむことだった。だが彼らは長期的に韓国こそ北韓が世界資本主義に編入するのに“媒介体”になるだろうと信じ韓国資本の進出を誘導した。北韓低賃金労働力の搾取など問題もなくはなかったけれど、太陽政策に応じてきた去る10年間の北韓官僚集団の態度を見れば、この政策が長期的に韓国,北韓を一つの経済空間で括り平和的共存の基盤を作る上で大きく成功することができたという結論が出てくる。北韓支配層もずっと継続的に大きくなっていく中国の影響力を相殺するもう一つの力として韓国を必要としたためだ。

しかし、太陽政策のこのような大きな潜在力にもかかわらず、イ・ミョンバク政権が国内保守層結集と対米癒着関係強化のために北韓と今まで結んできた協定書などをほとんど反故にしてしまった。北韓消費市場の70%をすでに中国製品が占有しているが、今は北韓が中国経済圏に編入する過程がより一層はやくなることにより、北韓支配集団内で軍部の声はより一層強くなることにより、統一どころか平和共存基盤の造成は予測可能な未来に不可能になるだろう。一度だまされてみた北韓が二度だまされようとするだろうか? 昔話のとおり、小貪大失、小さな政治,経済的利益をうらやましがったイ政権は韓半島の未来を亡ぼしている。


パク・ノジャ ノルウェー,オスロ国立大教授・韓国学

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/361825.html 訳:J.S