大統領府とハンナラ党のこうした反応は実にあきれるもので残念だ。金前大統領の発言は前職大統領であり国の元老としてこの間精一杯我慢してきた現時局に対する心配と苦言を吐き出したものと評価される。民主主義後退,南北関係危機,庶民経済没落など彼が指摘した内容はイ・ミョンバク政府だけが無視しているもので、すでに大学教授・市民社会の野火のような時局宣言で確認されたものばかりだ。大統領府としては苦言を分かりやすく解釈し必要ならば諮問でもするのが正しい対応であり、烈火の如く怒ることではない。
大統領府とハンナラ党は金前大統領の発言の中で “行動する良心” “傍観すれば悪の側” 等、いくつかの節を問題視して ‘政権退陣扇動発言’ をしたと非難している。だが、これは全体文脈を言葉尻をあげつらっているにすぎない。金前大統領はむしろ ‘政権と国民の不幸’ を防ぐためには「イ・ミョンバク大統領の大きな決断」が切実に必要と力説した。イ大統領の変化により政権がうまくいってこそ、国も国民も不幸にならないというのが金前大統領演説の核心だ。
大統領府が金前大統領の発言を批判する論拠を見れば、現状況をどれほど我田引水で見ているのかがよくわかる。イ・ドングァン スポークスマンは「530万票という史上最大の票差で選出された政府を独裁政権のように批判するのは不適切だ」と非難した。イ政権の最も大きな問題はそのような圧倒的な票差の勝利に心酔するあまり、国政運営全般で傍若無人な態度を見せている点だ。反省する場面で怒るわけだ。庶民経済沈没に対して「貧富格差が現政権になってはむしろ緩和される傾向」と強弁したことや、言論の自由悪化に「誰でも大統領を非難している状況なのに理解し難い」と言い返したのもやはり同様だ。金前大統領の演説文を几帳面に読み深く省察することを薦める。
原文: 訳J.S