原文入力:2009-06-10午後10:00:27
←チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授
大統領は総理,長次官など行政府の主要席および大法院長,憲法裁判所長,監査院長の任命権を持ち、所属政党の国会議員公認権を事実上行使する。‘龍床’(訳者注:玉座)はまさに一つだけなので、与野党の‘潜竜’たちは死を覚悟した決断で激突する。この過程で左右の思想攻撃,人身誹謗,地域感情動員は基本だ。新しい大統領が選出されれば彼のための ‘龍飛御天歌(朝鮮の創建を讃美した歌)’が鳴り響く。新しい権力は過去の権力の影響力を消すための ‘斬殺’ 儀式に着手する。退いた大統領には ‘戮屍’ や ‘烹刑’ が加えられ、公職者任期制がどうであれ過去の権力時期に任命された人は追い出される。これと同時に執権勢力内部には ‘席’ と ‘利権’ をさらに多く、さらに早く占めるために激しい競争が広がり、大統領の親戚や側近に対しては執拗なロビーが広がる。この過程で不法と便法が動員されるわけだ。
しかし大統領が強大な権力を独占しているだけに任期の間に発生するすべての問題は大統領のせいとなり、反対政派の刃はいつも大統領に向けられる。遅くとも任期3年目になれば権力漏水が表面化し‘御座’は揺れ、政府与党内で現職大統領との差別化作業が始まる。その結果、次の選挙戦まで国政は漂流する。
以上は ‘帝王的大統領制’ と呼ばれる韓国政治権力構造に対する冷笑的描写だ。勝者一人占めの権力構造が維持される限り、対話と妥協の政治は失踪し ‘憎しみの政治’ が再生産され無限権力に向かった無限闘争が反復されるほかはないだろう。盧武鉉前大統領の事故にはこういう構造的背景が敷かれている。
今やこういう権力構造を変える時になった。憲法を改正し権力独占から権力分散の時代に進まなければならない。先ず大統領の権限を分散しなければならない。特に国務総理の国務委員提案権と解任建議権を規定した現行憲法条項を尊重する国政運営またはこの権限をさらに明らかに具体化する憲法改正が必要だ。これは政治勢力間の連合を促進するためだ。すなわち、保守連合政府,進歩連合政府,一歩進んで進歩・保守連合政府(=フランス式 ‘左右同居政府’ )の構成が可能なように制度的枠組みを用意しなければならないということだ。こういう枠組みが用意されるならば、各政治勢力が大統領・総理・国務委員など閣僚会議の予備構成員を編成し連合権力を模索することで執権すれば政権を共同運営し共同責任を負うだろう。近ごろ議論されている大統領重任制はこのような大統領権限の分散と結びつかないならば意味があまりない。
第二に、司法府独立と憲法裁判の重要性などを考える時、大法院長と憲法裁判所長の任命権は大統領の権限から削除することが望ましい。監査院の場合、行政機関と行政府公務員に対する職務監察権限だけを残し国家歳入・歳出の決算,国家および法律が定めた団体に対する会計監査権限は国会に移管する必要がある。
第三に、現在運営されている比例代表制が部分的に加味された小選挙区制を変えなければならない。地方区選挙ではただ1人の勝者だけがいるので、選挙が激しくなり費用が多くかかり多量の ‘死票’ を作り出す。そして地域主義に基づく選挙文化を固着させる問題を抱いている。思うに、地方区議員数を大幅に減らし政党投票に割り当てられる比例代表議員数を大幅に増やしたり、最初から選挙区制を小選挙区制から中選挙区制に変える変化が必要だ。これは理念と政策に基づく政党政治を定着させる効果をもたらすだろう。
政治的民主主義は代表者の直選だけではない。‘帝王的大統領制’ の弊害を正し権力分占を制度化して社会統合を促進する努力が汝矣島内外で起きなければならない時期だ。
チョ・グク ソウル大法学専門大学院教授
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/359842.html 訳J.S