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[社説]再び民主・民生・統一の創刊旗じるしをたてる

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/354999.html

原文入力: 2009-05-14 午後 08:48:10

21年前の今日、<ハンギョレ>は6余万株主が掲げた民主・民生・統一そして真の言論の旗じるしのもとに誕生した。それは冷戦独裁の凍土を突き抜け芽を出す野の草と同じだった。その日初めての叫び声は5月の新緑よりさらに眩しかった。
今でもその旗じるしは相変らず揺らぐことはない。しかし、なぜ未だに民主・民生・統一・真の言論なのか。山や川が二回も変わる程の歳月が流れた。その先には一次元さらに高い、信頼と連帯,寛容と兄弟愛の旗じるしが待っている。もっと幸せな人生、もっと暖かい共同体に対する熱望もやはりいっぱいだ。相変らず鮮明なハンギョレ創刊の旗じるしを見る心はそれほど楽ではない。

わずか1年前にも私たちは生活の質を重視する実質的民主主義の退行を心配した。民主主義の基本価値や人権自身の後退ではなかった。市場万能主義が中産層と庶民の暮らしを破壊して盲目的開発主義が自然と人間の調和を破壊し、成長一辺倒の政策が教育と医療福祉の公共性を傷つけないだろうかを心配したのだ。

心配は現実となった。教育は社会的地位と富を世襲する手段に転落している。医療の公共性を崩そうとする試みは続き、水と電気も営利追求の対象になっている。企業国家型経済政策は雇用の量と質を墜落させた。非正規職は800万人を越え、体感青年失業率は20%に達している。4大河川事業は自然生態系の安全性を不可逆的状態にまで破壊しようとする。おりしも盲目的市場主義の矛盾が地球的次元で弾け、世界経済のパラダイムを抜本的に転覆させているのに韓国では不動の姿勢だ。

民主主義と人権まで退行

退行はここに止まらなかった。まさかと思った民主主義と人権ですら急激な退行がなされている。疎通の危機,信頼の危機,人生の危機を自ら招来した政府・与党は、政権安保次元で血と汗で積み上げた民主主義の金字塔まで崩している。韓国の表現の自由はすでに国際的笑い話になった。放送通信審議委員会は放送やインターネットの検閲機構に変質した。集会とデモは許可制に転落し、公権力は公共の安全ではなく政権の安全のための棍棒に回帰した。

人権保護の最後の砦である司法府までが政治的外圧に揺れている。裁判関与波紋を起こした当事者が最高裁判事に任命され、判事の集団抵抗にも彼自身や大法院長は我関せずを決め込んでいる。事情がこうだから検察は裁判所の命令が出ても捜査記録の閲覧を拒否している。国民は公正な裁判を受ける権利まで否定されている。生活の質を悩む実質的民主主義はさておき、民主社会の基本前提まで威嚇されているということだ。

冷戦の亡霊も復活している。西海5島周辺には不穏な気勢が流れ、南北和解協力の象徴である開城工業団地は生命維持装置で支えられている状態だ。民間次元の交流協力も封鎖された。真剣な蘇生努力も蘇生計画も見られない。むしろ待っていたとばかりに南側では公安政局が造成され、各種監視盗聴など私生活検閲が強化されている。

強固な連帯で飛翔を

民主・民生・統一の創刊の旗じるしを再び高く立てようとする理由はここにある。しかし退行のすべての原因を政権にだけ回すことにはならない。我ら自らにも彼らに劣らない過ちがあることを認めなければならない。いわゆる民主勢力は一時の成功に己惚れ、自ら退行の道を開いた。人間的な価値より経済的実用を先行させ始めたのはいわゆる国民の政府だった。権力が市場に移ったとして資本の企画に従い始めたのは参加政府であった。そのような風潮の中で成長は至高至善の価値に変わり、市場万能主義はこれを実現する支配的イデオロギーとなった。正規職は非正規職を抑圧し、世代間搾取と排除がなされ共倒れに向かう盲目的競争だけが大手を振るう。

それでも冷笑と自虐に陥るわけではない。歴史は進歩してきたし進歩する。ただし人の思い通りに進歩しないだけだ。反省は民主・民生・統一そして真の言論の旗じるしをこの土地に頑強に根をおろそうとする覚悟につながらなければならない。これを土台に人間的価値が花咲く幸せな共同体に向けた献身と犠牲の確約に進まなければならない。そうしようとするなら私たちはこの時代の矛盾を担った人々に先に手を差し出さなければならない。消耗品になってしまった非正規職,夢を奪われた青年たち,境界の外に追い出された社会的弱者と少数者。これらこそその矛盾を克服し共同体を一段階さらに成熟させることができる主体だ。

ハンギョレは時代の絶望の中でも夢を失わなかった人々が紡ぎ出した民主化の象徴だ。ハンギョレはその夢を記憶する。彼らが成し遂げようとする世の中を記憶する。創刊21周年、手のほどこしようもない退行の時代を迎え、ハンギョレは再び腰のベルトを締めなおす。一方で抑圧される人々、他方では良心的知識人と労働者,市民社会と企業家の手を握ろうとする。そして民主・民生・統一を越えて平和の共同体に向かって飛翔を始める。

原文:  訳J.S