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社説・コラム
[社説]世界映画の中心に立った‘アウトサイダー’キム監督
登録:2012-09-10 15:58
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https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/550833.html
原文入力:2012/09/09 19:15(1446字)
キム・ギドク監督が映画<ピエタ>で第69回ヴェネツィア(ベニス)映画の最高作品賞である金獅子賞を手にした。1961年カン・デジン監督の<荷馬車>がベルリン映画祭特別銀熊賞を受けたのを始め、世界3大映画祭の門をたたき続けてきた韓国映画がついに頂点に立ったのだ。キム監督個人としても、2004年のベルリン映画祭監督賞(<サマリア>),2004年のヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞(<うつせみ>),2011年カンヌ映画祭‘ある視点賞’(<アリラン>)等を経て世界映画の中心にそびえ立つ快挙を成し遂げた。 キム監督の受賞は彼の雑草のような人生と、映画制作の悪条件を勝ち抜いた一編の人間勝利ドラマという点で、いっそう輝かしい。彼は小学校卒の学歴で若いころ労働者として生計をつなぎ、まともに映画の講義を受けたこともない。それこそ韓国映画界の非主流アウトサイダーだ。そのうえ作品の興行性を気にせず社会体制の本質と人間疎外という特別なテーマ意識に激しくこだわってきた。外国では作家精神が高く評価される監督ながら、国内ではつねに低予算や上映館不足の苦労をなめてきた。金獅子賞を受けた<ピエタ>もまた2億ウォンにならない予算で3週間で制作され、150か所余りの小型映画館を通じて観客と触れ合っている状態だ。
まさにこのようなキム監督の境遇は、韓国映画100年史の最大慶事に臨んでもすぐには祝杯をあげることを許さない。興行が見込める作品だけに資金が集中し、人気の1、2本の作品が映画館を事実上占領する寡占体制下で、映画の多様性の花は開きにくくなっている。キム監督の受賞を韓国映画界の完全な成就として自慢するには胸の片方が痛み、第2、第3のキム・ギドクが出てくるという期待感を持ちがくなっていることが理由だ。彼の受賞を契機に韓国映画の多様性を確保しようとする努力がもう少し積極的に行なわれなければならない。
あわせて1996年の<鰐~ワニ~>から<ピエタ>に至るまで、キム監督が18編の作品に一貫して込めようと努めたメッセージに注目することも大切だ。キム監督は金獅子賞の受賞インタビューで<ピエタ>のメッセージが "資本主義と、これによって生まれた非道徳性"だと明らかにした。滞った借金を債務者から集める取り立て人と、金のために命を絶ち、争う底辺の人の生きざまを通じて、キム監督はお金が至上価値となった資本主義の非情さを赤裸々に表わしている。そしてこのような世の中の叫びに対して語っている。「映画が表現しているのは私たちの社会の‘厳しい真実’だが、このような真実に際して改善の道を模索するのは我々みなの課題だ」。
原文: 訳T.W
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