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[社説]危うくなった日本の平和憲法

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/541524.html記事登録:2012/07/08 19:13 (1338字)
 日本の右翼の平和憲法への揺さぶりはきのう今日のことではない。戦争放棄と軍隊の保有禁止、交戦権の否定を定めた9条を柱とする平和憲法が1947年にマッカーサー占領軍司令部の主導により制定されて以来、軍隊を保有して戦争ができる‘普通の国’を作ろうとするのは右翼の長い間の夢だった。  このようなもくろみは、過去の侵略を美化・称賛して、戦犯裁判である東京裁判の正当性を否認してA級戦犯の位牌がある靖国神社を参拝するなどの言動で繰り返されたものの、実現日本国内の強固な反戦・平和世論と韓国・中国をはじめとする周辺国の牽制のために実現されなかった。
 しかし最近になって日本の政治・社会状況が変わり、平和憲法の封印を解く動きが急速に現実化に向かっている。まず、平和憲法の番人役だった革新野党の社会党(現社民党)が1993年に55年体制の崩壊とともに埋没して、右傾化を牽制する政治勢力がなくなったのが大きい。 2009年に政権を取った民主党は右派政治家育成機関である松下政経塾の出身の野田佳彦氏が総理になって、右傾化を牽制するどころか先導するようになった。最近の政界の流れを見ても、集団的自衛権行使を容認する方向で憲法を解釈することを総理の直属委員会が求めた。武器輸出3原則を緩和して、核武装の道を開く方向で原子力基本法を改正したのも民主党政権だ。第一野党である自民党は憲法を改正しなくても集団自衛権行使を可能にする‘国家安全保障基本法案’を次期総選挙の公約に掲げたし、既成政治に対する嫌気を背景に急浮上した橋下徹・大阪市長の大阪維新会も9条の改正を尋ねる国民投票をしようと乗り出している。あたかも太平洋戦争時の国民総動員体制である大政翼賛運動を思い出させる形だ。
 反面、日本の中の平和・反戦・反核勢力はますます存在感を失って牽制力を失った。むしろ、20年にわたった長期経済沈滞と昨年起きた東日本大震災の影響で社会に挫折感と被害意識が深まって、攻撃的右傾化とファシズムの雰囲気が広がっている。さらに中国の浮上を牽制しようとする米国の要望までいっそう増している状況だ。
 日本の植民支配という惨状を体験した我が国では過去の侵略行為と明確に断絶しない日本の再武装の動きを強力に牽制して制御する責務がある。従軍慰安婦に対する責任さえ認めない日本が平和憲法の封印を解こうとするのは、東北アジアの平和を破る‘パンドラの箱’を開けるのだということを、日本だけでなく国際社会に広く知らしめて警告しなければならない。
原文: 訳T.W