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[社説]古里原発事故想定の警告を軽視するな

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/533883.html原文入力:2012/05/21 19:06(1372字)
 古里(コリ)原子力発電所の1号機で放射能流出事故がおきた際の被害を予測する民間模擬実験結果が出された。簡潔すると、古里1号機で1986年のウクライナのチェルノブイリ原発事故規模の放射性物質が放出される事故がおきた場合、急性死亡4万8000人、がんによる死亡85万人など最大90万人が亡くなるという。すみやかに待避がなされれば人命被害を多少減らせるが、経済的損失は最大628兆ウォンに達すると推定された。想像さえしたくない身のすくむ被害規模だ。  環境運動連合と日本のパク・スンジュン関西学院大学准教授らが行なった今回の実験は日本の原発事故評価プログラムを利用したもので、国内では初めての試みという。そうのため実験の正確性や結果の意味をめぐって議論される余地がなくはない。最大90万人が亡くなるという古里1号機事故の場合も風が釜山(プサン)に吹き、市民が避難をしない最悪の状況を前提としている。
 それでもそのような点を非難して、実験の警告を無視したり低い評価をするのは適切でない。原発事故の可能性が0%ならば杞憂に過ぎないが、いまや原発事故がいつでも起きえると考えるのがあるべき姿だ。あらかじめ予測して備えなければ原発大災難の被害を最小化する方法はないというのが、昨年の日本の福島原発事故の生々しい教訓だ。
 全21基ある我が国の原発の中で直ちに心配なのは1978年から35年も稼動して中断状態にある古里1号機だ。古里1号機に対してはこれまで何回も‘警告サイン’が点灯した。原子炉の容器が数十年にわたる放射線の照射で弱くなった事実が確認されたし、今年2月には停電事故の時の外部電源供給装置である非常ディーゼル発電機が作動しないひやっとする事故も起きた。それでも政府はなんとかして再稼働させようとしている。そのうえ原発で事故がおきれば直ちに待避しなければならない予防的保護措置区域や、放射能流出が確認された時に待避をしたり防護薬品を住民に支給しなければならない緊急保護処置計画区域は、国際原子力機構(IAEA)の勧告案よりはるかに原発の近いエリアに設定されている。事故がおきれば外国より人命の被害が大きくならざるをえない状況だ。
 政府は市民社会の警告を受け入れて原発事故の際に起きる被害を予測する作業を進めなければならない。合わせて住民の安全のための非常計画区域を国際基準に合わせることも必要だ。しかし何より急ぐべきは超大型‘時限爆弾’になりえる古里1号機の閉鎖を決めることだ。
原文: 訳T.W