総選挙の出口調査の結果を見守るハン・ミョンスク民主統合党代表ら=11日午後、ソウルの同党本部
原文入力:2012/04/12 09:35(2018字)
昨日行われた第19代総選挙で、セヌリ党は過半数の議席まで占めた。一時支持率が最悪だった点を考慮すれば注目に値する起死回生だ。
昨日行われた第19代総選挙で、セヌリ党は過半数の議席まで占めた。一時支持率が最悪だった点を考慮すれば注目に値する起死回生だ。
だが今回の総選挙は与党の勝利というよりは、むしろ野党の敗北というべきだ。野党に絶対的に有利な状況で行われた選挙である点も考えれば、野党の結果はいっそうみすぼらしい。民主党は政権継承政党としてのビジョンと能力を見せるどころか、公認失敗や批判のために、お膳立てされたものさえまともに獲得できなかった。その上、選挙終盤に発覚した国務総理室の民間人査察事件がなかったならこの程度の結果さえおさめられなかったろう。民主党は自ら滅んでしまった。
国民の判断基準とされる首都圏では、セヌリ党が野党にはるかに遅れをとった。特にソウルでは江南(カンナム)など数地域を除いて、ほとんどの野党に議席を明け渡した。ホン・ジュンピョ前代表を始め総選挙を陣頭指揮したクォン・ヨンセ事務総長らも野党候補らに苦杯をなめた。
セヌリ党が算術的には勝ったが勝利の意味が大きく半減するほかないわけだ。
今回の総選挙を通じてもう一度確認されたことは地域差の高い壁だ。釜山(プサン)などではそれなりに地域主義の緩和が少しうかがえたが、大邱(テグ)・慶北(キョンブク)と湖南(ホナム)など各政党の票田の偏重は頑強だった。地域差の壁を破るか関心を集めたキム・ブギョム・イ・ジョンヒョン候補らも全員苦汁をなめた。
セヌリ党が首都圏で大きく敗れても第一党になれたのは嶺南(ヨンナム)地域の議席数が絶対的に多いためであることは見逃せない。民主主義と人権の後退、破綻状況に達した市民の暮らし、権力による不正と腐敗の横行など李明博政権がこの間に犯した失政を鑑みて、セヌリ党がこの程度の成績をあげたことは伝統的な票田を全て守って善戦したためと解釈される。
統合進歩党の躍進も注目に値す。統合進歩党は院内交渉団体になるのは失敗したものの、非保守系の政党としては史上最大の議席を占めた。今後議会でキャスティングボートを握る政党としてまともに役目を発揮できるか見守りたい。
今回の総選挙結果は与党と野党の皆に重い課題を投げかけている。まず李明博大統領は今回の総選挙の結果を自分に有利に解釈してはならない。有権者の底流に脈々と流れる政権に対する拒否感が今回の選挙結果に十分に見られる。
セヌリ党、特に朴槿惠・非常対策委員長も話だけの差別化、外見だけの変化がいつまで通じるのか深く考えることを望む。事実、今回の選挙の勝利者は朴委員長といえる。朴委員長は党名改正、公認での大統領閥の排除などを通して李明博大統領との線をひくのにありったけの力をふりしぼった。そしてそれを‘過去との断絶’として装った。このような戦略は今回の総選挙で確かに効果を上げた。
セヌリ党の本質が変わらなかったという点も如実にあらわれた。権威主義と閉鎖主義的な態度は相変わらずだったし、親財閥・金持ち路線を修正することもなかった。見る目がある大多数の有権者が、セヌリ党のこのようなうわべの手段にのらなったことは注目するべきだ。
野党圏はより一層の痛切な反省が必要だ。与党の失政による反発に頼る戦略だけでは限界があることを今回の総選挙は如実に見えてくれた。リーダーシップ不在、ふらついた政策、未来に対する青写真の不在など野党の慢性病を治さない限り政権交替ははるかに遠い。
総選挙が終わったことで、政局はもう本格的な大統領選のレースに入るだろう。各政党は総選挙結果を我田引水で解釈してはならない。有権者が票を通じて投げたメッセージの意味を謙虚に受け止めて国民が真に願うことが何なのかをじっくり考えてみることを望む。
原文:
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/527933.html 訳T.W