原文入力:2012/02/28 20:03(3338字)
財閥問題の核心は三星(サムスン)…目標設定を明確にし
改革勢力 結集誘導し国民説得に乗り出すことを
←イ・ポンス市民編集者、世明大ジャーナリズムスクール大学院長
"私が大統領である限り財閥改革を必ずやり遂げる。"(金大中大統領)
"私は最初に財閥改革に成功した大統領になる。"(盧武鉉大統領)
しかし二人が大統領職を賭けて推進した財閥改革は失敗した。二人の大統領在任期間に大財閥は自らの図体と問題を同時に育て、特に三星は他の財閥と政府も見下げる絶対強者になった。
‘財閥改革’が今回の総選挙はもちろん大統領選挙の最大イシューになる展望だが、歴史の鏡に照らしてみれば今回も兆しが良くない。 過去に戻ってなぜ財閥改革が失敗したのかを調べよう。 まず金・盧2人の大統領は政治と社会の民主化過程の立派な指導者であったが経済民主化の指導者ではなかった。 新自由主義によりもたらされた経済危機を新自由主義的処方で抜け出そうとした。 結局、最大財閥、1,2ヶの問題を‘30大財閥’‘10大財閥’と言って問題を希釈させることにより三星の韓国社会支配を容認した。
金大中政権は外国為替危機という絶好の財閥改革機会を迎えたが手綱をぐっと締めることができずに、危機の主要原因提供者であった三星が国民の税金で三星自動車不良を払いのけられるようにした。 いわゆる‘第3の道’という‘生産的福祉’と‘労働市場柔軟化’政策は国民の経済的・法的地位を‘弱化一路’に追い込んだ。
盧武鉉政権は経済部門に関する限り‘三星による、三星のための政権’だった。 盧大統領自身が釜山商高の先輩であるイ・ハクス三星グループ秘書室長を通じた三星の長期にわたる‘管理対象’であったし、イ・クァンジェなどの側近も熱烈な‘親三星’だった。 政府の経済政策はもちろん、国税庁・検察・司法府がほとんど三星の望みどおりに動いた。 そのような怪力の源泉だった‘わいろロビー’の実状が露見した‘Xファイル事件’までが無かったことになり、秘密資金に対するチョ・ジュンウン特検は三星の不法相続を合理化することで終わった。
しかし今回は財閥改革ができるだろうと多くの人が期待している。ちょっと見には条件も良くなった。 何よりも両極化の弊害を体験した国民の希望が従来とは異なり、財閥経済体制のパートナーであった保守政党までが野党と競争的に財閥改革を叫んでいる。
それでも私が失敗を憂慮する理由は2つある。改革の主体と目標、換言すれば財閥改革勢力が結集しておらず、目標が鮮明になっていないためだ。 過去に失敗した前轍を再び踏んでいるということだ。革命にも主体勢力があって革命公約が明瞭であってこそ成功する。 永遠と思われたクーデター勢力が崩壊したこともまた、朴正熙と全斗煥という核が除去されることによって終わった。
李明博政権と朴槿恵を指導者とする与党は、巨大財閥と一体であり財閥改革に関する限りいかなる変身も選挙期間の偽装術である可能性が高い。 執権すればアンシャンレジーム、すなわち旧体制の復活だ。 野党はどうか? 民主統合党のハン・ミョンスク代表とムン・ジェイン氏は盧武鉉政権の総理と秘書室長であったから、財閥改革失敗の‘主要任務従事者’だ。 彼ら考えが大統領と違うのかも知れないが、盧武鉉の克服と対国民謝罪が前提となってこそ真正性を認め得る。
民主統合党の指導部構成と公認過程を見れば否定的な思いがより一層強まる。改革性向の強い市民社会出身は最高委員選挙でほとんど落選し、公認も総入れ替えどころか現役中心に進行している。 カン・チョルギュ公認審査委員長は「財閥の横暴を阻む人を公認する」と公言したが、空文句となってしまった。
実はカン・チョルギュ公認審査委員長自身が朴槿恵委員長の最側近であるユ・スンミン議員と共に三星の自動車進出に決定的貢献をした学者であり、外国為替危機に対する責任がある。 改革イメージの強かった彼が、三星が自動車進出ロビーを全面展開した時に突然<東亜日報>特別寄稿(1994年5月15日)を通じて三星の自動車進入許容を主張したことは奇異だった。
民主統合党が財閥改革の真正性を認められるためには盧武鉉政府時に財閥改革を推進して三星の影響などにより追放されたことで知られるイ・トンゴル、イ・ジョンウ、チョン・テイン氏を再び迎え入れるなど、改革勢力を結集しなければならない。 それどころかシム・サンジョン、ノ・フェチャンなど財閥改革勢力が多数布陣している統合進歩党とも候補単一化する意志がないように見える。
財閥改革の一方の主体は進歩言論だ。 過去の財閥改革が失敗を繰り返したのは保守的な政権-財閥-言論の三角同盟があまりにも強固だったためだ。 保守言論だけを恨むことでもない。 三星が広告をくれず進歩言論の物質的基盤が弱くなったためもあるが、財閥改革関連イシュー設定能力が非常に不足しているという点を指摘せざるをえない。
現局面でも<ハンギョレ>は財閥改革を先導する姿を見せられずにいる。 <京郷新聞>が‘財閥改革’シリーズを始めて11日を過ぎてようやく‘0.1%財閥の国’というシリーズを始めた。 イシュー設定力を左右する核心要素は、誰が早く議題を投じるかにある。 遅く始めれば内容も重複し注目度が下がる。
改革目標を明確にする問題は改革の成否と直結する。三星の韓国社会支配力が残りすべての財閥の合計を凌駕している状況で、ターゲットを分散させることは改革失敗に帰結される可能性が高い。三星は最大財閥であり、最少の相続税を納めて経営権を継承した点、無労組経営を守っている点、巨大言論を率いて他の言論までも飼い慣らそうとしている点、ロビーを通じて政治と経済政策はもちろん司法体系まで左右しようとしている点など、他の財閥にはない多くの理由で改革の目標となる要件を備えている。 三星が我が国を食べさせている側面も明らかに存在するが、韓国社会の問題点もまた、三星に起因することがとても多い。
重要なのは進歩言論が財閥改革を押し進める方式だ。 業種専門化などで上手くやっている財閥も多いのに、全体を罵倒することは逆攻勢を招く結果になる。三星が憎いからではなく、国民に愛される企業にするために改革を実行しなければならないということを説得しなければならない。 相続税をまともに納め、福祉支出を拡大し、経済活性化のために改革が必要であることを知らせなければならない。 経済民主化こそが最良の経済再生運動であることを悟らせるようにしなければならない。
イ・ポンス市民編集者、世明大ジャーナリズムスクール大学院長
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