原文入力:2012/02/14 19:21(1710字)
←パク・スンビン論説委員
‘協力と共生’を模索したが
‘競争と牽制’の関係で各個躍進する東北アジア3国
彼らはいつまた襲うやもしれない地震や津波をそれほど恐れていない。 自然の呪いをあたかも運命であるかのように淡々として受け入れる。 怒ることも絶望することもない。 地震津波がさらって行った跡にポツンと生き残った‘奇跡の松’から新たな希望の種をていねいに育てている。 実際、彼らに迫っている恐怖は別のところにある。 自然災害ではない‘市場の暴力’だ。
日本経済広報センターの招請で先週日本を訪問して私が受けた感じだ。 政・財界と学界有名人にあまねく会い、懸案を聞き東北沿岸の被害地域も見て回った。 昨年3月に発生した東日本大地震と福島原子力発電所事故の後暴風は予想よりはるかに広く深く見えた。20余年にわたって続いている経済不況に戦後最悪の円高まで重なった。 昨年、貿易収支は31年ぶりに赤字に転換し、国家負債は国内総生産(GDP)の200%を越えた。 指標から言えば、国家不渡りの危機に陥ったギリシャよりさらに深刻だ。 国内外で国家信用等級の降格を憂慮する声が強い。
野田佳彦 日本総理は消費税引き上げと環太平洋経済パートナー協定(TPP)参加に突破口を求めた。 二つとも賛否両論が熱い話題だ。 言論は野田内閣と執権民主党の境遇を‘二つの爆弾を抱えて薄氷の上を歩いている姿’と描写する。 特にTPP交渉参加に対しては、与党でさえ賛否両論に分かれている。 竹森俊平 慶応大教授は「民主党の理念的スペクトラムがあまりに広く、アイデンティティが明確でなく党論を集め難い」と伝えた。
日本民主党は2009年 歴史的政権交替に成功したる時、格差解消と福祉拡大を政策基調として掲げた。 戦後54年間、自民党政権が維持してきた輸出主導の成長戦略と供給主義の経済体制から抜け出すと公言した。 しかし米国主導のTPP体制は民主党が提示した‘第3の道’とは距離が遠い。
第一野党である自民党でも反対意見が侮れない。 小泉内閣で外相を務めた町村信孝 自民党議員は「基本的にTPPに賛成するが、主要先進国の中で食糧自給率が最も低い状態で農業部門の過度な開放は食糧安保を脅かしかねない」 として警戒した。
当初2006年ニュージーランド・シンガポール・チリ・ブルネイ(P4)等、4ヶ国の小規模自由貿易協定からスタートしたTPPは2008年米国の参加宣言によりその地位と性格ががらりと変わった。 交渉参加国が9ヶ国に増え、米国は商品交易障壁の解消だけでなく知的財産権、投資、サービス市場までを網羅する包括的経済統合協定に導いている。一言で言えば、環太平洋国家間に北米自由貿易協定(NAFTA・ナフタ)や韓-米自由貿易協定(FTA)の拡大版を作るということだ。
ここに世界3位の経済大国 日本までが参加するTPPが誕生すれば、汎環太平洋経済圏に一大地殻変動が起きる。日本と韓国は米国と中国の間の経済的覇権競争に巻き込まれる公算が高い。 日本が2004年‘経済連係協定に対する基本方針’で明らかにした東アジア経済共同体構想でも、参与政府が一時夢見てきた‘平和と繁栄の東北アジア時代’はうやむやになる可能性が強まる。 東北アジアが‘協力と共生’から‘排他的競争と牽制’の関係へ複雑にからまるということだ。
TPPを巡る日本政界の賛否論議は逆説的にも東北アジア共同体構想を復活させている。 民主党副代表を務めている直嶋正行議員は「米国発金融危機の後に東アジアが世界経済の成長エンジンに浮上した現実の中で、東北アジア経済共同体を構築できなければ未来はない」と断言した。彼は韓国政府もはやく答を出さなければならないと催促した。
パク・スンビン論説委員 sbpark@hani.co.kr
原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/518987.html 訳J.S