本文に移動

[朴露子 コラム] 韓国資本の「通念」、人種主義

原文入力:2012.02.01 05:07(1871字)

←朴露子(バク・ノジャ、Vladimir Tikhonov)ノルウェー、オスロ国立大教授・韓国学

 子供の頃、テレビでしばしば見た『アンクル・トムの小屋』の場面はいつも筆者の脳裏に刻み込まれている。酷暑のアメリカ南部で、炎天の日差しに汗を流す黒人奴隷、そして鞭で彼らを脅かしながら「この野郎どもめ!太陽はまだ沈んでないぞ、さっさと働け!」と怒鳴る白人の支配人…。ソ連のテレビはこのような映画を「帝国主義の歴史を正しく教える」ために流していたが、筆者もこの場面は現在と決して無縁ではないと信じながら育った。大韓民国が先頭に立っている最近の新自由主義的な「労働搾取のグローバル化」現象を知ってから初めて人種主義的で暴力的な労働者酷使が現在型であることを認識するようになった。

 「熱帯の熱い空気の中で数百人の、主に黒ずんだ肌のインディアン系の若い女性たちが紡織作業に取り組んでいる。横にいる仲間に言葉をかけることさえも恐ろしい。「無駄話」しているのがばれたら、韓国人の管理者にぼこぼこにされたり、少なくとも暴言を浴びせられるからだ。体罰されれば悪臭漂うトイレに逃げだすように行って思う存分泣きたくもなるが、それもできそうにない。トイレにばかり行っていると韓国人管理者に非難されるか、また殴られるからだ。管理者は大抵聞き取れない韓国語で怒鳴る。しかしそのうち「パルリパルリ(早く早く)」と「ケセッキ(畜生)」などの一部の単語は黒ずんだ肌のすべての労働者たちが分かるようになったのだ。」

 『アンクル・トムの小屋』の場面を連想させる上記の話は、ある人権活動家が描いた1980年代末のグアテマラにおける韓国糸紡織会社の日常だ。1987年の労働者大闘争以後、国内ではかつてのような過度な賃金搾取が難しくなると、紡織業社たちは我先に「親韓的な」極右政権の統治するグアテマラのような国々に「進出」し始めた。2000年代初頭まで韓国はグアテマラで第1位の投資国家だったが、その「成功」の裏には黒ずんだ肌のインディアン労働者たちに対する記録的な酷使と日常化した体罰・暴力があった。韓国系工場における暴力がどれほど酷いものだったら、韓国とグアテマラ両政権の「ひも」であるアメリカの国務省が結局「調査」しなければならなくなったのだろうか。韓国企業らによる暴力と超過搾取、軍事主義的な労働者統制の「海外輸出」の嚆矢の一つだったグアテマラ投資ブームは、結局中国とベトナムの浮上で終わったものの、一つだけは変わらなかった。白人でない、特に黒ずんだ肌の外国労働者に対する終りのない人格的な無視と無惨な暴力の連続、すなわち殺人的な人種主義だ。

 もちろん韓国企業の搾取と不当労働行為の一次的な被害者は誰よりも国内の労働者たちだ。また白人労働者だからといって、利潤追求に目がくらんだ国内の資本家たちによる様々な権利侵害に晒されていないわけでもない。たとえば、韓国の学習塾業者たちのネイティブ講師(主にアメリカなどの国籍の白人)に対する賃金未払い、残業強要、退職金支給拒否などといった様々な不当労働行為は既に国際的に問題になったことがあった。しかし、韓国人や白人に対しては少なくとも極端な暴力を振るったり「奴隷扱い」したりする例は多くはない。しかし、「コムドゥンイ(黒んぼ)」、黒ずんだ肌の労働者たちに対する扱いは完全に違う。『ルモンド・ディプロマティク』韓国版2011年12月号に報道された韓国のマグロ漁船におけるインドネシア人船員に対する常習的な苛酷行為などの蛮行は例外と言うよりは日常茶飯事に近い。韓国企業の搾取対象となった黒い肌の人々は常に暴力や暴言を覚悟しなければならない。

 最近国内で成されている人種主義をめぐる議論は国内居住の東南アジア人や黒人などに対する常識はずれの一部の一般人の侮辱などに焦点が合わせられている。庶民たちまで支配者たちの「通念」をそのまま真似ることももちろん嘆かわしいことだが、問題の核心はアメリカ式「人種秩序」をそのまま真似て人種主義を搾取の武器にする韓国の資本家たちだ。彼らこそが韓国を肌の色が違う人々にとって最も住み辛い所の一つにしている。果して私たちは人種と国境を越える連帯精神で彼らの「通念」に対抗できるのか。

原文: https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/516830.html 訳J.S