原文入力:2012/01/10 19:07(1073字)
8日におきた現代自動車の組合員シン某氏の焼身をめぐって労使のあつれきが増幅している。現代車労組は昨日午後から蔚山(ウルサン)エンジン工場の操業を全面中断したのに続き、蔚山(ウルサン)工場の全事業部で残業を拒否して事実上のストライキにあたる団体行動に入った。シン組合員焼身の明確な原因糾明と共に適切な事後策がなされなければ騒動はいっそう大きくなる兆しだ。
何よりまず糾明されなければならないことは労組主張のように会社側の不当な現場管理と労働弾圧がシン組合員の焼身に導火線になったかという点だ。焼身直前のシン組合員の行動とノートブックに残した文章などから推定すれば、彼の極端な選択は現場管理と関連している可能性が大きい。今月の初め新組合員は自身が勤務するエンジン5部の梅岩洞(メアムドン)工場のエンジンの不良品問題などに対する意見書を監査チーム長に送り、監査チームはすぐに監査に入った。そして焼身の前日、部署長から作業場を離れるなという指示を受けたという。彼のノートブックの文章には"なぜ現場弾圧をするか。監査室の投稿に対する報復ではないか"という内容が含まれているという。
ところが会社側はこのような情況を無視して現場弾圧がなかったという態度を守っている。現代車の関係者は偶発的な事件だとか、強硬な労組が存在感を誇示しようと常識はずれな行動をしているなどの主張もあるという。このような主張は事態解決どころか、あつれきだけを増幅する火種になる。
現代車は昨年、世界5代自動車会社にくい込むなど世界的な超巨大企業として地位を固めた。だが、このような地位に釣り合わない後進的な労使関係が非難されてきた。代表的な例が勤労基準法(労働基準法)に反した長時間労働だ。会社側はこの問題が社会的な論議を呼ぶと、最近は現業職1400人余りの新規採用などの対策を出したが、依然として不十分という労働界の指摘を受けている。裁判所が違法派遣と判断した社内下請け労働者の正社員化は依然として実現のめどが立たないままだ。
現代車は中長期ビジョンで‘自動車から人生のパートナーへ’を打ち出している。会社の最も重要なパートナーが労働者であることは言うまでもない。会社側は労組とともにシン組合員の焼身の理由を調べて事態収拾のために多角的な努力を傾けなければならない。合わせて長時間労働体制の根本的な変更と社内下請けの正社員化などの共生の労使関係のための礎を早く整えるべきだ。
[社説]パク・ヒテ議長は辞職して民主党も疑惑を明らかに
原文修正:2012/01/09 21:44(1126字)
政界の‘金の封筒(賄賂)’の波紋が日増しに広がっている。コ・スンドク・ハンナラ党議員が2008年の全党大会当時金の封筒を渡した候補としてパク・ヒテ国会議長を名指ししたことによって現職の立法府の首長が検察捜査を受けることになる過去にない事態が展開された。民主統合党でも、今回の全党大会に立候補したハン候補が嶺南(ヨンナム)地方で金の封筒を回したという証言が出てきた。与野党を問わず‘金権政治’の汚染状態が深刻なことが分かる。
コ・スンドク議員が受け取った300万ウォンは氷山の一角と見られる。コ議員は昨日の記者会見で「(パク・ヒテ候補の側近が持ってきた)カバンの中には同様の黄色封筒がぎっしり入っていた」と話して、金の封筒がハンナラ党議員に大量に配られた可能性を示唆した。また、パク候補側のソウルおよび院外組織の責任者だった党協委員長が、ソウル地域30カ所の党協事務局長に50万ウォンずつ渡すように所属する区議員に指示したという証言まで出てきた。当時全党大会に数十億ウォンがばらまかれたという政界の噂が根拠のない流言だけではないようだ。
パク議長は18代総選挙でハンナラ党の公認を受けられなかったが2008年の全党大会で大統領府が党代表として押した。公認の脱落者を党代表として起用しようとしたことからがコメディであった。経歴に欠けた人物を党代表にしようとすると無理が生じるのは当たり前だ。彼がばら撒いた資金の出処と関連して大統領派の有力者の役割が注目される理由だ。検察は徹底した捜査を通じて、全党大会当時ばらまかれた金の全体規模と出処、金を受け取った議員が誰なのかを一つ一つ明らかにしなければならない。
状況がここまできたらパク議長は "私は知らないこと" といい逃れようとするのではなく、政治家として責任ある態度を示さなければならない。検察が現職の立法府の首長を調べることにともなうプレッシャーを減らすためにも国会議長職から退くのが妥当だ。
民主党でも、大邱(テグ)の院外地区党委員長経験者が全党大会の予備選挙の前に特定候補のための金を受け取って代議員にばら撒いたという疑惑が提起された。民主党が真相調査委員会を構成して事実関係を把握することにしたというから結果を見守りたい。万一、党レベルで真実の究明が難しいならばハンナラ党のように検察に捜査を託すのも一案だ。金の封筒疑惑は与野を問わず政界全体の命運がかかっている問題だ。各政党は今回の機会に壊死した患部を切り出すという特別な覚悟を固めることを望む。
原文:https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/514143.html 訳:T.W