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中国が抱えるAI発展のジレンマ【寄稿】

登録:2026-06-23 07:45 修正:2026-06-23 08:11
中国上海で開かれた世界AIカンファレンス(WAIC)の会場/ロイター・聯合ニュース

 昨年初め、中国のAI企業ディープシークは非常に低い訓練費用で世界最高水準の企業であるオープンAIに匹敵するほどの性能を持つモデルを公開し、米国IT業界に強い衝撃を与え、市場変動を引き起こした。その後、中国ではAIは政府が主導し国民が支持する産業となった。それにともなう社会的インパクトも見過ごすことができない。これについて、以下の見解を提示する。

 一つ目に、中国においてAIは、単なる科学技術産業政策を超え、国家発展戦略の次元に格上げされた。最近の公式報告書によると、従来の「インターネット・プラス」が「AIプラス」で置き換えられ、産業発展の中核としての地位を確立したことを確認できる。これは、米中戦略競争における重要分野にもなった。中国のAI政策は、「発展と安全保障を同時に重視」という特徴を示している。一方では各種の補助金政策を通じて産業を育成し、他方ではコンテンツ規制と人材管理政策を通じてこれを統制している。AIを科学技術の自立と国家の安全保障という戦略的枠組みに組み込んでいる。

 二つ目に、中国の都市化が進み続けるにつれ、都市の規模が拡大し、交通渋滞、環境汚染、医療・教育資源の配分不均衡など、さまざまな問題が生じている。これは、伝統的な統治方式だけでは、高密度人口社会が直面する新たな問題を効果的に解決するのは困難であることを示している。これにともない、AIと情報技術(IT)を活用し、資源配分の効率性と行政の精度を高めることが都市ガバナンスの転換における中心課題として浮上した。このため、主要都市はAIを活用し、交通・治安・環境・医療などの重要分野のデータを連携させている。このような緻密で予測可能な技術力は、便利な現代生活への期待を満たすと同時に、中国が「科学技術大国」である点を内外に誇示し、政権統治の基盤を強化する役割も果たしている。

 三つ目に、最近のAIの発展とともに広がっている「AI不安」は、中国も例外ではない。特に、AIによる「技術代替」とこれにともなう失業問題は、集団的不安感を増幅させている。このような現象は特に青年層で目立つ。中国政府の最新統計によると、4月の16~24歳の都市部の青年失業率は16.3%で、今年の大学卒業者数は1270万人に達すると予想されている。高い青年失業率とAI不安は、中国共産党の社会統治の負担をよりいっそう重くしている。

 最後に、ビッグデータとAIの活用は、社会の統治に前例のない「緻密性」と「予測可能性」を提供する。中国では、IT発展の本質は「党がデータを管理する」(党管数据)という最高原則に従属している。中国共産党にとってデータとアルゴリズムの発展は、単に公共の福祉を最大化する手段ではない。国家が情報の独占権を掌握し、社会統制を強化する「体制の安定維持のための道具」へと転換しつつある。これを活用して人民を精密に追跡・評価・分類しており、最近では、人民日報や新華社のような官営メディアもAIを積極的に活用することで、政治的ストーリーをより効果的に形成し、世論を誘導している。

 総合的にみると、中国政府はAIの発展をめぐりジレンマに直面している。グローバルな技術競争で優位を確保するためには、AIを積極的に育成する必要があるが、他方では、AIが引き起こす政治・社会的問題に対処しなければならない。このため現在の中国は、AIを発展させると同時に、社会統制を強化する手法で対応している。このような非対称的な監視権力は、表面的には対立を抑え込むことができるかもしれない。しかし同時に、社会の底辺に「信頼の欠如」という潜在的なリスクを蓄積させる。これは、中国当局と人民の間の関係を「表向きは服従していても、内心では距離を置いている」状態に追い込む可能性があるという懸念を生じさせている。

//ハンギョレ新聞社

王信賢|台湾国立政治大学国際関係研究センター所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1264549.html韓国語原文入力:2026-06-21 18:39
訳M.S

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