金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記兼国務委員長が「朝鮮民主主義人民共和国はこれまで平和を拒んだことは決してない」、「敵どものいかなる選択にも対応する準備ができている」と述べた。24日に労働新聞が報じた。金正恩委員長は「韓国を最も敵対的な国として公認し、最も明白な言辞と行動で徹底して排除し、無視して対処していく」と述べた。
金委員長は23日の最高人民会議第15期第1回会議の閉会直前の施政方針演説で、「発展権と安全権、生存権を守るため、取りうるあらゆる手段を講じるとの立場は絶対不変」だとして、「核保有国としての地位を絶対不退に堅固に打ち固めつつ、敵対勢力の反共和国挑発策動を打ち砕くための敵に対する闘争を攻勢的に展開していく」と述べた。金委員長の演説を韓国の政治体制に例えると、大統領選と総選挙の直後に、新たに構成された国会で大統領が行う最初の施政方針演説に当たるもの。
労働新聞は、今回の会議で北朝鮮の憲法名が従来の「朝鮮民主主義人民共和国社会主義憲法」から「朝鮮民主主義人民共和国憲法」に変更されたと明らかにしたが、具体的な改正内容は公表していない。最も関心の高い「反統一敵対的二国家関係」が憲法に明記されたかについても明らかにしていない。
金委員長が演説で示した対南政策を含む対外政策は、従来の「核放棄不可」および「反統一敵対的二国家」路線の再確認だと考えられる。同氏は「核の盾の堅固な構築は、国のあらゆる分野の発展と人民生活の改善を確固として担保・推進している」とし、「自力更生と核武力強化の戦略的路線」を重ねて強調した。韓国統一部の当局者も24日、記者団に対し「全般的に先日(2月下旬)の第9回党大会で示された対内外基調と立場を再確認した性格のものと評価する」と述べた。
しかし金委員長の演説は、従来の対南政策基調とは異なる論理も見受けられる。例えば金委員長は「我々の敵どもが対立を選ぶにしろ、平和的共存を選ぶにしろ、それは彼らの選択の問題であり、我々はいかなる選択にも対応する準備ができている」と述べている。これはひとまず、「米国が真の平和共存を望むなら、我々も米国と向き合えない理由はない」とした昨年9月の最高人民会議第14期第13回会議での演説を思い起こさせる。しかし、金委員長が「敵ども」という複数形を用いていることに照らすと、「敵ども」には米国だけでなく韓国も含まれると考えられる。金委員長が先月下旬の労働党第9回大会と今回の最高人民会議の演説で、国名に言及したのは米国と韓国だけでもある。
さらに、党大会と最高人民会議で改正された党規約や憲法に「反統一敵対的二国家関係」が明記されたかどうかについて、金委員長と労働新聞がまったく触れていないことにも注目すべきだ。意図的に非公開にしているのは、それそのものが韓国に対するシグナルだ。
さらに金委員長は「現在の国際情勢」は「予測できないほど複雑多岐」だとして、「予測不可能性に備える最も確実な方法は、すべてに備えること」だと強調しているが、論理的には「すべて」には「対立」だけでなく「対話と交渉」も含まれる。さらに同氏は「国家利益を最初に据え、外交的優先権を再調整・再定義し、策略的に実践していくべきだ」と強調した。韓国大統領府は「政府は長期的な視野を持ち、朝鮮半島の平和共存政策を一貫して推進していく」と語った。