ウクライナ軍のある兵士はハンギョレの取材陣に「『母船』の役割を果たす大きなドローンが小さなドローンを運んできて、高高度からまき散らした。迎撃を避けるためだ」と言い、首を振った。
2022年2月24日、ロシアのウクライナ全面侵攻以降、ドローンはこの戦争を象徴する武器となった。兵力不足に悩むウクライナは、数的劣勢を補うために戦争初期からドローンの開発に取り組み、そのおかげで4年間抵抗を続けている。
その間にロシア軍もドローン部隊の量と質を向上させた。射程を数千キロメートルまで伸ばしたロシアのドローンは、夜になるとウクライナの後方まで飛来する。ジョイスティックで操縦されるロボットが人間を殺傷する「未来の戦争」が、ウクライナではすでに現実となっている。
3日、ウクライナ西部のテルノピリでは、住民のネルヤさんが空襲で真っ黒に焼けた自宅を見てため息をついていた。彼女が1989年から住んでいたこのマンションは、昨年11月19日の午前7時頃、ロシア軍のミサイルを受け、火の海となった。2階に住んでいたネルヤさん夫妻は、近くの教会の司祭がバルコニーにかけてくれたはしごのおかげで建物から脱出できた。しかし、上の階の家族など近隣住民6名は炎に巻き込まれ、命を落とした。
ネルヤさんは「この辺はテルノピリで住宅が最も密集している地域だ。他のインフラがないため、彼ら(ロシア軍)が私たちを攻撃するとは夢にも思わなかった」と語った。
5ブロック離れた別のマンションは、同日の爆撃で外壁が崩壊し、取り壊された。50メートル離れた隣の棟に住む83歳のハリナさんの家のリビングまでレンガの破片が飛び込むほどの衝撃だった。高血圧を患っている彼女は、今でもその日を思い出すと心臓がドキドキし、体が震える。
ハリナさんは「怖すぎて窓が割れるのを見ても、一歩も動けなかった。隣人が腕を掴んで引っ張ってくれて、やっと建物の外へ逃げ出すことができた」と伝えた。
テルノピリ市によると、当時ロシア軍はドローン4機とミサイル4発でテルノピリを攻撃した。マンション2棟で子ども8人を含む計38人が死亡し、3人が行方不明となっている。この戦争中、最も多くの民間人が死亡した空爆の一つだった。
ロシアのドローンが前線から1000キロメートル以上離れた民家にまで飛んできたことを見て、国際社会は衝撃を受けた。「ロシア軍は『後方すら安全ではない』『ウクライナに安全な場所はない』という恐怖を植え付けるために、私たち市民を犠牲にした」。テルノピリのセルヒ・ナダル市長は、怒りを抑え震える声で語った。
「安全地帯」が消えたのは、戦争の4年の間にドローンがより遠く、正確に飛ぶように改良された結果だ。初期にはロシアの機甲部隊は、ウクライナ軍の小型一人称視点(FPV)ドローンのたやすい餌食だった。ウクライナ軍は中国製のDJIドローンで敵戦車の位置を把握した後、対戦車砲を発射し、ドローンで直接爆弾を投下して撃破した。クアッドコプター(翼が四つ)のドローンが戦車のエンジン上部に迫撃砲弾を落として火の塊にするというユーチューブ動画が、世界中で話題になった。
ところが、2023年からはロシアもドローンを量産し、両国の戦力が拮抗するようになった。前線上空はドローンで「飽和状態」となった。偵察ドローンが敵の動きをリアルタイムで感知しているため、どちらも兵力や装備を大規模に動かせなくなった。
匿名希望のあるウクライナ軍将校は、「6カ月前、NATO軍がウクライナのドローン部隊の幹部を招待し、西側の新型戦車などについて評価を求めたことがある。幹部の答えは『戦線でこのような装備は30分で新しい存在(スクラップ)になる』ということだった」
戦線が大きく動かず固まると、両側は深部を攻撃する「長距離ドローン」にしがみつき始めた。ロシア軍の主力はエイの形をした自爆ドローン「シャヘド」。新型モデルは射程が2500キロメートルに達し、上空4000メートル以上で飛行するうえ、目標物の近くで急降下して防空網を回避するというのがウクライナ軍の説明だ。
特にハンギョレの取材に応じた軍当局者たちは、先月末にスターリンク(米国のスペースXの衛星通信ネットワーク)端末を搭載したシャヘドが発見されたことを懸念していた。以前はウクライナ領内100キロメートル範囲ではロシア軍の通信信号が届かず、目標の座標だけを入力してドローンを飛ばす必要があった。ところが、スターリンクに接続されると、長距離ドローンを小型のFPVドローンのようにリアルタイム映像を見ながら操縦できるようになる。ウクライナ軍の関係者は「シャヘドに目が付いたようなものだ。電波妨害で落とすこともさらに困難になる」と述べた。
今月初め、スペースXは別途認証を受けた端末のみウクライナ地域での通信を許可する方式によってロシア軍の利用を防いだが、ロシアがこれを回避しうるという懸念は依然として残っている。
ウクライナもロシアの内陸の石油精製施設などを破壊するため、最長1500キロメートル以上の射程を持つ攻撃用ドローンを運用している。米国が戦争拡大を懸念してウクライナに長距離ミサイルのトマホーク巡航ミサイルを提供しなかったため、ウクライナが開発しやすいドローンに目を向けた結果だ。
今やドローンは活動範囲を海と陸に広げている。軌道を持つ陸上ロボットといえる無人地上車両(UGV)は、敵の無人機の監視を避け、味方部隊に食料や弾薬を供給し、負傷者を輸送する任務を主に担っている。兵士の接近が難しい危険な最前線に地雷を設置するドローンも配備された。海軍は敵艦や沿岸施設を攻撃する水上ドローンを飛ばしている。
兵士と将校たちは口を揃えて、今後の軍事紛争では無人機の戦力が勝敗を分けるだろうと語った。安価なドローンを多数生産し、はるかに価値のある敵の人命と交換するという形に戦争のパラダイムが変わったという。匿名希望のある将校は「この戦争は誰がより効率的に戦うかの戦いになった。大きくて重くて高価な兵器ではなく、安価で機動性のある兵器が遠くから人を『狩る』形になった」と話した。
オルハ・メリョーシナ無人装備軍少佐は「今後、ドローンのない戦争は存在しないだろう。従来型の火力中心の戦闘教義も早急にドローンを含む教義に発展させるべきだ」と語った。