李在明(イ・ジェミョン)大統領は不動産関連で連日強いメッセージを発している。その背景には、任期序盤に市場に明確なシグナルを送り価格を安定させなければ、任期中ずっと市場に引きずられ、そのうち政治的危機を迎え政権まで明け渡しかねないという危機意識がある。大統領府内外では、住宅価格の上昇に対する期待が固まる前に強いメッセージを送ることで投機需要を抑制し、資産投資が不動産ではなく株式市場へと流れるよう誘導する「マネームーブ」効果まで念頭に置いた戦略だと説明する。
李大統領は23日、「複数住宅保有者の譲渡税重課猶予」を終了する方針を明らかにした後、この日まで8回にわたりX(旧ツイッター)に不動産関連の投稿をした。政権序盤に住宅価格安定に向け政策ドライブを強くかけ、「投機同盟」勢力の世論戦に対抗する意志を「国民に対する直接的な訴えかけ」の形で示したのだ。李大統領が1月31日、Xへの投稿で「国民の多数が支持する合法的で正当な政策手段があり、この権限を行使する意志がある政府に対抗するなら、個人も損失、社会も損失を被る」と書いたのも同じ脈絡だ。
このような動きには、昨年6月と10月に発表した不動産関連の規制にもかかわらず、住宅価格上昇の流れが止まらないことに対する危機感も反映されている。大統領府内外で最後の政策手段として議論されてきた「不動産税制改編」の可能性を示唆する発言が出てくるのもこのためだ。大統領府関係者は「税制改編をするとかしないとか、するとしたらいつから、などを事前に予告しては効果を上げにくい。鞘に入った刀は『いつ抜かれるかわからない』という不安を相手に抱かせてこそ威力を持つ」と述べた。与党「共に民主党」のハン・ジョンエ政策委議長も「税制に関しては、大統領の考えと党の立場は変わらない。税制改編なしで住居価格が安定すれば良いが、税制改編というカードは排除しないというのが党の立場」と話した。
不動産税制改編に踏み切ることで、高価の住宅保有者から反発が起こり6月の地方選挙で損失を被ることよりも、住宅価格の上昇を放置したときに直面する支持離れと国家競争力に及ぼすネガティブな効果の方が大きいという判断も働いたものとみられる。大統領府関係者は「大統領が日本の『失われた30年』を繰り返し言及するのには理由がある」とし、「不動産を抑えられなければ、世論が動揺し政治的危機を迎えるのはもちろん、生産的投資が回復できず、経済が沈滞するというのが大統領の持論」だと述べた。韓国ギャラップが27~29日、全国の18才以上1001人を対象に今後1年間の住宅価格の見通しを調査した結果、「値上がりするだろう」という回答は48%で、「値下がりするだろう」(19%)という回答の2倍を越えたことも、大統領府の危機意識を深めたものとみられる。
ただし、李大統領が先月31日に書いたXへの投稿で、「KOSPI5000(達成)よりも住宅価格の安定は難しくない」と述べたことからもわかるように、李大統領と大統領府は状況を悲観的にばかり見ているわけではない。先の不動産暴騰で苦戦した盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権と文在寅(ムン・ジェイン)政権時代とは異なり、株という「代替される投資市場」があるという判断からだ。大統領府のキム・ヨンボム政策室長が31日夜、フェイスブックへの投稿で、国民が財テクの手段として不動産より株を好むという世論調査の結果をシェアしたうえで「パラダイムはすでに変わった」と断言したのも同じ流れだ。