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AI時代、25周年迎えたウィキペディアの道を探る【寄稿】

登録:2026-01-28 08:04 修正:2026-01-28 08:53
オンライン百科事典「ウィキペディア」(Wikipedia)が1月15日に創設25周年を記念して掲載したイラスト。ウィキペディアは最近、生成AIの登場により危機と挑戦に直面している=ウィキペディアより//ハンギョレ新聞社

 今月15日、インターネット百科事典「ウィキペディア」(Wikipedia)が創設25周年を迎えた。300以上の言語で6500万件を超える記事を備えた地球上最大のオンライン百科事典の成長は、祝うに値する出来事であるにもかかわらず、これを扱った科学メディアの報道の論調はまったく異なる。祝いよりも危機と挑戦、特に、生成AI(人工知能)が引き起こした変化のほうが頻繁に言及される。

 科学メディアがこれに注目する理由は、ウィキペディアがこれまで科学技術の知識と情報の重要な共有貯蔵庫として機能してきたためだ。ウィキペディアには人物や文化関連の記事が多いが、科学技術分野もかなりの割合を占める。記事作成に科学技術の専門家とアマチュアの参加が増えるにつれ、最新知識を概観するうえでの重要な案内書としての地位を確立した。

 一部の科学メディアは、この新たな環境を、単なる変化ではなく存続にかかわる脅威と診断している。単一のプラットフォームとしては、人類最大の知識貯蔵庫であるウィキペディアが、3年前から生成AIがもたらしている危機に直面しているのだ。

 直近の兆候として、アクセス数の減少が挙げられる。ウィキメディア財団によると、昨年の特定期間のアクセス数は、2024年の同期間に比べ約8%減少した。AIがネットの検索結果を要約して提示するようになり、ウィキペディアを直接訪れる利用者が減少したためだ。これは、記事を作成して管理するボランティア編集者の参加意欲の低下につながる恐れがあり、懸念材料となっている。

 しかし、このような危機の構造には明らかな皮肉がある。生成AIモデルは訓練用データの相当部分をウィキペディアから得ているからだ。集団知性で検証された膨大なコンテンツは、言語生成を訓練するうえで最適の資源だが、そのようにして作られたAIは、いまや自分で百科事典的な知識を生成し、ウィキペディアの地位を侵食している。このような状況は、帝国が植民地から抽出した資源で繁栄する一方、植民地は荒廃することになる関係を連想させる。

 とはいえ、ウィキペディアはAIの自動生成物と根本的に違う。25万人に達するボランティアのメンバーたちの目と手は、出典を厳密に検証して記事を作成し、誤りを見つけて修正する。創造論と進化論、気候変動とその懐疑論に関する現在の記事は、激しい内部論争の結果だ。このような過程を経て、出典の明記と編集基準を強化する方向につながり、ウィキペディアが「集団知性の砦」と呼ばれることになった信頼の基盤となった。

 情報を探す方法は変化し続ける。紙の本からオンライン探索へ、さらには生成AIの要約を消費する時代に移行している。しかし、紙の本が依然として重要な媒体であるように、AI時代においても、集団知性のウィキペディアは萎縮するとしても、消えはしないだろう。ウィキペディア側は若い世代の関心を集め、AIの編集ツールを活用し、多種多様なコンテンツを試みる変化を模索している。

 ウィキペディアが直面する問題は、他の領域の作家や編集者にも突きつけられている同じ課題でもある。人間が生産するコンテンツは、AIの生成物が氾濫する時代において、どのような意味と地位を持つのだろうか。ウィキペディアの次の25年は、信頼できる知識と情報をいかに利用可能にするのか、他の知識情報生態系とともに探索していく過程でもある。

//ハンギョレ新聞社

オ・チョルウ|ハンバッ大学講師(科学技術学) (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1241982.html韓国語原文入力:2026-01-27 19:28
訳M.S

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