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来年4月に朝米首脳が会う時、韓国は?【寄稿】

登録:2025-11-17 09:01 修正:2025-11-17 10:41
北朝鮮の金正恩国務委員長とドナルド・トランプ米大統領が2018年6月12日、シンガポールのセントーサ島での第1回首脳会談の途中、庭園を一緒に歩いている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 ドナルド・トランプ大統領と金正恩(キム・ジョンウン)委員長の対面は(APEC首脳会議期間中に)実現しなかった。北朝鮮を核保有国として認めたうえで、制裁緩和まで提示したトランプ大統領の求愛に、金委員長は背を向けた。交渉ではなく、会合そのものから得られるものが多いにもかかわらず、なぜそうしたのだろうか。その中心にあるのが中国という変数だ。北朝鮮は中国を意識していた。米国との談判を準備した中国を考慮し、今回は自制したのだ。トランプ大統領は来年4月に北京を訪問する。米中と朝中の間で朝米が動く可能性が高くなった。韓国は何をすべきか。

 最近の朝鮮半島秩序で注目すべき変化は朝中関係だ。9月初め、中国の戦勝節を機に6年ぶりに朝中首脳会談が開かれた。その後、両国関係は変わった。中国はもはや非核化を口にしない。両国の経済協力も変わった。朝中貿易額がコロナ禍以前の局面に回復し、国境貿易が活発になった。9月末、チェ・ソンヒ外相と王毅外相が北京で会談した後、北朝鮮官営「労働新聞」は「実質的な協力を深める」ことにしたと報じた。

 「実質的な協力」という言葉に注目しなければならない。9月以前にも北朝鮮は中国との経済協力を望んでいたが、中国は国連制裁という国際ルールを守ると宣言した。朝中の間には隔たりがあった。北朝鮮の経済構造においては、ロシアとの経済関係がいくら活発でも、朝中の経済関係を代替できない。地理的近さ、貿易依存度、中国製の機械設備がほとんどを占める産業連携のため、北朝鮮の貿易で中国は圧倒的な比重を占めてきた。9月以降、中国はルールの遵守という名目を維持しながら、融通を利かせ始めた。

 中国の中央政府が方向を決めれば、実質的な協力は地方の役目だ。両国の国境は相互依存の歴史が長く、非常に長い間、一つの経済圏のように動いてきた。ロシア派兵で北朝鮮が現金を手に入れたことで、北朝鮮にも輸入する能力ができた。中国の電気自動車ブームで余っている内燃中古車が北朝鮮へと売られている。国境の特殊性のため、実際は統計に含まれない非公式貿易が実際より非常に多い可能性もある。国連制裁を守りつつ、両国の実質的な協力が可能な分野もある。まさに観光だ。北朝鮮は、元山葛麻(ウォンサン・カルマ)の巨大な観光団地を埋め尽くす観光客を必要としている。

 中国はトランプ大統領との2度目の会談で、北朝鮮カードを積極的に活用するだろう。過去、韓国は南北米3国関係においては南北関係で北朝鮮を説得し、韓米関係では米国を説得して朝米関係を進展させたが、今や事情が変わった。中国が韓国の代わりを果たすことになるだろう。中国は、トランプ政権の決定的弱点である大統領と実務部署との意思疎通の不在で生じた空白を埋める役割を狙うだろう。今後、休戦と競争を繰り返す米中戦略競争時代に、北朝鮮問題はスピード調整の素材に浮上した。米国と中国が協力して北朝鮮問題を解決すれば幸いだが、韓国外交の挑戦と言わざるを得ない。

 来年4月、北京を舞台に繰り広げられる外交の時間に、韓国は何をすべきなのか。南北関係の断絶のため、韓国は見物人になってしまった。残念ながら、当分の間、南北関係を再開する可能性はない。対決と協力が交差する二重構造の南北関係で、対話の時間に水面下に沈んでいた悪材料は、膠着の時間になると水面上に浮び上がる。まだまだ先は長いのに、障害物が増えるばかりだ。

 今、すべての外交力を集中しなければならない分野は韓中関係だ。手遅れになる前に韓中両国の戦略的意思疎通を強化し、朝米首脳会談というイベントが持続可能な交渉の入り口へと向かうようにしなければならない。韓中両国は共同の利害関係が存在する。中国の「双中断」、すなわち韓米軍事演習の中断と北朝鮮の核・ミサイル中断は、李在明(イ・ジェミョン)政権の北朝鮮核問題の段階的な解決法、すなわち凍結環境づくりが急務だという認識と共通点がある。中国の戦略である双軌並行、すなわち核問題の解決と朝鮮半島平和体制の並行論も一致する。韓中の戦略的疎通で中国が北朝鮮を説得し、韓国は米国を説得して南北米中が同時にあるいは順次参加する4者会談を始める時が来た。

 李在明政権は「すべてを賭けた渾身の」韓米交渉で、関税と貿易をめぐる対立局面を賢く乗り越えている。だが、そこに外交戦略は見当たらない。地政学が復活した時代に、中間地帯の多くの国々は生存戦略に悩む。伝統的な同盟への依存では対応できない時代だ。複合危機を乗り越えるためには、外交と国防、そして南北関係を調整しなければならない。実用外交の戦略、人事、制度を点検する時だ。戦略のない戦術だけでは競争に勝てず、目標のない実用は道に迷いやすい。

//ハンギョレ新聞社
キム・ヨンチョル|元統一部長官・仁済大学教授(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1229527.html韓国語原文入力:2025-11-16 19:01
訳H.J

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