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ニューヨーク・タイムズ「原潜で韓国のバランス外交は終わったとの評価」

登録:2025-11-04 01:59 修正:2025-11-04 07:28
李在明大統領が29日夜、慶尚北道慶州のヒルトンホテルで、米国のトランプ大統領と記念撮影をおこなっている=大統領室写真記者団//ハンギョレ新聞社

 ニューヨーク・タイムズは1日(現地時間)、韓国は米中の間でバランス外交を試みているが、今回のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議によって、それがどれほど難しい課題なのかがあらわになったと報じた。とりわけ「原子力潜水艦の建造の承認」は、韓国が米国の安保体系にさらに統合される措置だとして、「新たな潜在的対立の要因」になると評した。

 ニューヨーク・タイムズはこの日、「韓国は米国と中国の相反する要求を調整できるのか」との見出しを付けた記事で、「李在明(イ・ジェミョン)大統領は就任直後、中国との関係を改善することを約束した。11年ぶりの習近平国家主席の訪韓は、それを実現しうる機会と考えられた」、「しかし、このような努力は米国との同盟を強化しようという韓国の動きと重なり、複雑化した」と伝えた。

米国のトランプ大統領(左)と中国の習近平国家主席が30日、釜山の金海国際空港で、会談を前に握手を交わしている=釜山/AP・聯合ニュース

 ニューヨーク・タイムズは「原潜建造承認」の場面を例にあげた。李大統領は先月29日、トランプ大統領に「原潜の燃料の供給を受けられるよう決断していただきたい」と公開の場で要請。翌日、トランプ大統領は「韓国が原潜を建造することを承認した」とソーシャルメディアで明らかにした。中国外交部の郭嘉昆報道官は31日、「韓国と米国は地域の平和と安定の助けになることをすべきで、その逆になってはならない」と懸念を表明した。

 李大統領が国防費の増額を約束したことについても、「米国と中国の相反する要求の折衷は難しい」ことを示していると同紙は伝えた。中国に対応するためにトランプ大統領に求められ続けてきた事案だからだ。同紙は「習主席は『韓国は米国の主導する対中貿易抑制の動きに同調することなく、多国間貿易体制を守るべきだ』と述べ、李大統領は『中国との貿易関係は韓国の世界的な経済大国への成長を後押しした』と答えた」、「しかしトランプ大統領の再選後、韓国はトランプからの圧力を緩和するために様々な措置を取ってきた。それは北京を不快にさせる恐れがある」と指摘した。

 米中関係のためのジョージ・H・W・ブッシュ財団のイ・ソンヒョン上級研究員はニューヨーク・タイムズに、「韓国は長い間、米国に対する安保依存と中国との経済相互依存の間でバランスを保ってきた。しかし、そのバランスは事実上終わった」として、「(原潜の取り引きは)韓国がバランサーから米国の体系に完全に編入されたパートナーへと転じることを意味する」と述べた。

 ニューヨーク・タイムズは「今回のAPEC首脳会議で米中は休戦に合意したが、対立的立場は依然として明確だった。トランプ大統領は演説で『アメリカファースト」を重ねて強調しつつ、自国優先の産業政策と関税戦略を正当化した。一方、習主席は中国中心のサプライチェーンを縮小しようという米国の試みに警告のメッセージを送った」とし、「李大統領は両首脳にレッドカーペットを敷いて外交的なバランスを取ることに努めたが、対立の複雑さは増している」と分析した。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1226885.html韓国語原文入力:2025-11-02 13:40
訳D.K

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