10月末頃と予測される中国の習近平国家主席の訪韓を控え、チョ・ヒョン韓国外交部長官は中国を訪れて王毅外相と会談した。米国が主導してきた自由主義的な国際秩序が崩れ落ち、北朝鮮核問題の解決が事実上容易でない厳しい戦略的環境の中で、韓国の国益を守るためには、韓中関係を安定的かつ友好的に発展させていくしかない。習主席は最近、自由貿易と多国間主義の守護者の役割を買って出ており、中国独自の「グローバルガバナンス」構想を示している。このうち、韓国も共感できる内容については積極的に協力し、小さな軋轢に簡単に動揺しない韓中戦略的パートナー関係を構築していかなければならない。
チョ長官は今月17日、会談を終えた後に記者団に対し、王外相との会談を通じて「(10月31日~11月1日に開かれる)アジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議への習主席の出席は確実だという印象を受けた」と述べた。訪韓が実現すれば、習主席は2014年7月以来11年ぶりに韓国を訪れることになる。この場合、自然に李在明(イ・ジェミョン)大統領と初顔合わせの首脳会談も開かれるものとみられる。これを通じて「トランプ時代」の韓中関係の基本的な発展方向が決まることになる。
王外相は同日、中国政府の考えを比較的明瞭な言葉で説明した。中国外交部の資料によると、両者の関係については「韓中は不動の隣国」だとし、「善隣友好、求同存異(互いに異なることは存在するが同じものを求めていく)、協力集中」などの原則を強調した。北朝鮮の核問題を含む朝鮮半島政策については、「安定性と連続性を維持している」とし、「両国が誠実な態度で信頼を堅固に」し、「敏感な問題も円満に処理しよう」と述べた。朝鮮半島の非核化に対する明確な言及はなかったが、「北朝鮮の核を容認する」というような急激な政策転換は行われていないことを暗示したといえる。さらに韓中両国は「経済グローバル化の恩恵を受けている」とし、「一方主義と覇権主義が蔓延した国際情勢の中で、両国は貿易保護主義に共同で反対し、国際自由貿易体制を守護しよう」と強調した。
王外相の発言の中には「自由貿易体制の守護」など、韓国の国益にも役立つ内容が多く含まれている。前回の「THAAD(高高度防衛ミサイル)をめぐる軋轢」のように米中対立を招く敏感な懸案が浮上することをできるだけ抑制し、両国が同意できる共通分母を元に関係を発展させていく方法を模索する必要がある。