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「太陽の数十億倍」超大質量ブラックホールの磁場の変化を初観測

登録:2025-09-17 08:03 修正:2025-09-17 09:20
米国ハワイ・マウナケア山頂にある電波望遠鏡。ハーバード&スミソニアン提供//ハンギョレ新聞社

 ほぼすべての大型銀河の中心に存在する、太陽の数十万~数十億倍の質量を持つ「超大質量ブラックホール」の周辺の磁場の変化が、初めて観測された。

 韓国宇宙航空庁は16日、韓国天文研究院、慶煕大学、蔚山科学技術院(UNIST)などが参加した国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)を通じて、M87銀河の中心にある超大質量ブラックホールの映像を解析したところ、このような現象が観測されたと明らかにした。

 今回の映像は、人類が最初にブラックホールの画像を撮影して公開した2017年と、翌2018年のデータに続く2021年のデータを比較解析したもので、韓国の研究チームが独自に開発したソフトウェアを活用し、M87ブラックホールの時間経過による変化を重点的に解析した。その結果、ブラックホールの影(中心の黒い部分)とその周辺の「光の輪」の大きさは一定だったが、光の輪が向いている方向、すなわち、ブラックホール周辺の磁場のらせん状の向きが毎年変化することを確認した。

国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ」(EHT)が撮影したM87銀河の中心にある超大質量ブラックホールの2017年、2018年、2021年のデータ。リング上の細い線は磁場の強度と方向を示す=宇宙航空庁提供//ハンギョレ新聞社

ブラックホールのイメージ=NASAゴダード宇宙飛行センター提供//ハンギョレ新聞社
 特に2021年には、磁場の回転方向が2017年とは反対になり、研究チームは「このような磁場の変化は、光を放出する領域の内部の磁場構造と周辺の物質による影響が複合的に作用した結果」だとし、「ブラックホール付近の物質が非常に活発に動いていることを示している。既存の理論を補完するさらなる研究が必要だ」と主張した。

 イベント・ホライズン・テレスコープは、全世界に散在する電波望遠鏡を連結し、地球サイズの仮想望遠鏡を作る国際共同プロジェクトで、ブラックホールの映像を得るために運用されている。M87は地球から5500万光年の距離にあるおとめ座銀河団の中心にある巨大楕円銀河で、中心に超大質量ブラックホールがある。

 イベント・ホライズン・テレスコープは2017年から、2018年、2021年、2022年、2024年、2025年にM87を観測し、新たな研究成果を発表している。来年、世界で初めてブラックホールの短時間スケールの変化を観測し、映像化するプロジェクトを進める計画で、今後のプロジェクトには、韓国天文研究院が運用する韓国宇宙電波観測網(KVN)が参加する予定だ。

パク・キヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/science/science_general/1219016.html韓国語原文入力:2025-09-16 16:10
訳M.S

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