尹前大統領夫人のキム・ゴンヒ女史によるドイツモーターズ株価操作疑惑を再捜査中の検察が、キム女史が株価操作を認識していたことを裏付ける数百の音声ファイルを確保したことが分かった。実際にキム女史の口座で株価操作行為があったため、キム女史がそれを認識していたとすれば、株価操作犯罪が成立する可能性が高まる。
17日のハンギョレ取材の結果、ソウル高等検察庁刑事部(チャ・スンギル部長)は先日、未来(ミレ)アセット証券を家宅捜索し、キム女史の声が録音された数百個の音声ファイルを新たに確保した。この音声ファイルには「あの人たちが株価を管理している」、「口座管理者側が収益金を40%程度と過度に要求してきている」という趣旨のキム女史の発言が記録されているという。正常な水準より高い収益金の分配を約束していたとすれば、口座を提供した「資金提供者」が相場操縦を知っていたという状況証拠となる。先に裁判所は、キム女史の未来アセット証券の口座を運用していたのは、ドイツモーターズの相場操縦のコントロールタワーとされる未登録の投資顧問会社「ブラックパールインベストメント」だったと判断している。ドイツモーターズ株価操作の第1段階の時期に「主砲(特定の株価を引き上げる仕掛け人)」だったL氏も、検察による取り調べで、2009年にドイツモーターズのクォン・オス元会長に「株の収益の30~40%をやる」と言われた際、キム女史が同席していたと供述しているが、裁判の過程では「現場にキム女史はいなかった」と言葉を翻している。
また検察は、キム女史が自身名義の証券口座の引き出し額や残額などの記された「キム・ゴンヒ・エクセルファイル」を未来アセット証券の社員に送った後、これを共に検討している音声ファイルも確保した。先に検察は、ブラックパールインベストメントに対する家宅捜索で、ファイル名が「キム・ゴンヒ」と記されたエクセルファイルを確保している。株価操作に用いられた口座の状況をキム女史が証券会社の社員と点検している会話が確認されたわけだ。
しかし、ソウル中央地検は昨年10月、キム女史の口座が株価操作に用いられていたことを確認したものの、キム女史がそれを認識していたとはみなしがたいとの理由で不起訴としている。キム女史の株価操作疑惑を捜査しているソウル高等検察庁とソウル中央地検のミョン・テギュン疑惑を担当する捜査チームは最近、キム女史に出頭を求めたという。