キム・ゴンヒ女史がドイツモータース株価操作とブランドバッグ受け取り事件で検察の「出張調査」を受ける10日あまり前に、キム・ジュヒョン大統領室民情首席(当時)と盗聴防止機能付き電話で33分間にわたって通話していたことが確認された。キム女史が検察の調査を避けるために、キム前首席を介して検察に影響力を行使しようとしたのではないか、との疑いが生じている。シム・ウジョン検察総長に続き、キム女史もキム前首席と盗聴防止機能付き電話で通話していたことが明らかになったことで、「尹錫悦(ユン・ソクヨル)の大統領室」による捜査もみ消し疑惑に対する特別検事による捜査は不可避だとみられる。
16日のハンギョレの取材の結果、キム女史は昨年7月3日午後4時8分ごろ、キム前首席に電話して17分49秒間にわたって通話しており、直後の午後4時29分にはキム前首席が改めてキム女史に電話して15分58秒間にわたって通話していた。キム前首席がキム女史との電話を切って3~4分後に改めて電話をかけている格好で、大統領夫人と民情首席が30分以上にわたって通話していたわけだ。
通話が行われたのは、ソウル中央地検の捜査チームがキム女史側と取り調べのやり方などを調整していた敏感な時期でもあった。2人の電話から4日後の昨年7月7日には、イ・ウォンソク検察総長(当時)がパク・ソンジェ法務部長官に、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代に検察総長の捜査指揮権が排除されたドイツモーターズ株価操作事件に対する指揮権を回復するよう要請しているが、断られている。このように検察総長が排除されている中で、ソウル中央地検の捜査チームは大統領室を通じてキム女史の取り調べのやり方などについて話し合っていたという。結局、捜査チームは昨年7月20日、ソウル昌成洞(チャンソンドン)の大統領警護処の付属施設を訪ね、キム女史を取り調べている。
12・3内乱の捜査によってキム女史も盗聴防止機能付き電話を使用していたことが明らかになっていたが、キム女史の具体的な通話の内訳が明らかになったのは今回が初めて。警護処は「キム女史はファーストレディーとして別途行事を行う際にコミュニケーション内容の秘密を守らなければならないため、盗聴防止機能付き電話を支給した」と説明していたが、民情首席はキム女史の行事や儀典とは関係のない大統領の参謀だ。さらに、盗聴防止機能付き電話は互いに通話する対象が設定できる。キム女史に民情首席との盗聴防止機能付き電話による通話が可能だったとすれば、他の首席秘書官や長官とも通話が可能だったと考えられるため、キム女史の国政関与疑惑をも裏付けるものとなりうる。キム女史は非常戒厳宣布の前日の昨年12月2日に、チョ・テヨン前国家情報院長に一般電話で2通のショートメッセージを送っていたことが明らかになってもいる。
ハンギョレは、盗聴防止機能付き電話でどのような事案を話し合ったのかをキム女史側とキム前首席に尋ねたが、両者とも回答していない。