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【社説】強まる中ロ協力、多極時代に韓国は「戦略的自律性」を養うべき

登録:2025-05-10 08:33 修正:2025-05-10 12:27
第2次世界大戦の対ドイツ戦勝80年を祝う行事に出席するためロシアを訪問中の中国の習近平国家主席(左)が8日(現地時間)、モスクワで、ロシアのプーチン大統領と首脳会談前に握手を交わしている=モスクワ/AFP・聯合ニュース

 第2期ドナルド・トランプ政権の登場により、米国の覇権を基盤とした「自由主義国際秩序」が事実上幕を下ろした中、中ロの首脳が会談し、結束の強さを誇示した。植民地からの解放後の大韓民国の発展と繁栄の基礎となってきた「自由貿易秩序」と韓米同盟が共に弱まりつつある現実の中で、中ロとの「安定的関係」を維持することは、韓国の生存にとって非常に死活的な課題となっている。新たな「多極秩序」の中で生き残っていけるよう、韓国独自の「戦略的自律性」を発揮しうる空間を育んでいかなければならない。

 中国の習近平国家主席は8日、ロシアのモスクワでウラジーミル・プーチン大統領と顔を合わせた。習主席はメディアに公開された同日の冒頭発言で、「中国はロシアとともに広範な発展途上国の権利と利益を断固として守るとともに、平等で秩序ある世界の多極化と経済のグローバル化を守っていく」と述べた。プーチン大統領も「厳しい戦争の中で築き上げてきた我々の連帯は(両国の)協力関係の基盤となりつつある」と応じた。習主席は、前日の到着後の声明では「主要な大国であり国連安全保障理事会の常任理事国である中国とロシアは、第2次世界大戦の勝利という結果を守り、国連と国際法・秩序にもとづく国際システムを確実に守りつつ、覇権と力の政治に断固反対するために力を合わせる」との考えを明らかにしている。「米国を再び偉大に」というスローガンを掲げ、全世界をめちゃくちゃにしているトランプ政権に立ち向かい、むしろ中国が自由貿易と国際秩序を守る責任ある大国であることを自任したかたちだ。

 トランプ大統領は1月末の就任直後、ウクライナ戦争を一日も早く収拾し、中国に対する圧力を強める姿勢を示してきた。これについては、米ロ関係の改善を利用して中国に圧力をかける、いわゆる「逆キッシンジャー戦略」を用いているという分析が根強い。しかしプーチン大統領は、中国との関係を強化する従来の路線を維持することを選択したとみられる。そうこうするうちに米国に対する国際社会の信頼が急激に低下し、欧州などではすでに独自の安保力を強める動きが本格化している。

 多極秩序の中で米国の覇権に抑えつけられていた中ロは、一つの大国として独自の主張を行うことになる。それと同時に、長年の韓国の同盟国である米国は「慈愛に満ちた覇権国」ではなく、ドライなビジネスパートナー役にとどまることになる。韓米同盟に対する古びた盲信から脱し、新たな秩序の中で生き残るために、根本から考え直していかなければならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1196494.html韓国語原文入力:2025-05-08 20:48
訳D.K

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