米国エネルギー省が1月初め、韓国を原子力や人工知能(AI)などの先端技術分野での協力が制限される「センシティブ国」に指定したことが確認された。米国が、長年の同盟国である韓国にこのような衝撃的な措置を取ったのは、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後に無分別に広がっている韓国内での「自主核開発」の議論に釘を刺す意図だと解釈せざるをえない。韓国が米国の反対する自主核武装の道を進むことは不可能だ。一部の政治家や専門家らは国益を損なう世論扇動を止め、現実的な代案を模索しなければならない。
米国エネルギー省は15日(現地時間)、「エネルギー省は広範囲な『センシティブ国およびその他の指定国リスト』(SCL)を維持しており、前政権(バイデン政権)が2025年1月初めに韓国をこの中で最も低い段階である『その他の指定国』に追加した」と明らかにした。センシティブ国は、リスクの段階に応じ、「テロ支援国」(北朝鮮・シリア・イランなど)、「危険国」(中国・ロシアなど)、「その他の指定国」に分けられる。
米エネルギー省が「科学・技術協力に対する新たな制限はない」と明らかにしたため、ただちに両国間での様々な交流・協力事業が中断されることはないものとみられる。ただし、以前にはなかった事前審査や承認手続きが発生し、研究協力の質が落ちたり、時間がより長くかかったりする可能性はある。エネルギー省は、現時点ではセンシティブ国指定の理由を明らかにしていない。
韓国で自主核武装の世論が力を得るようになったのは、2019年2月の「ハノイ(朝米会談)の失敗」後、北朝鮮の核の脅威が取り返しがつかないくらい大きくなってからだ。尹大統領は2023年1月、「その気になれば、(韓国は)1年以内に核武装が可能な技術的基盤を持っている」と述べたことで大きな衝撃を与え、最近では一部の専門家が、「トランプ政権になれば韓国の自主核武装を容認するだろう」という希望的観測を生みだすことに余念がなかった。このような危険な世論の動向を観察していた米国が、12・3内乱事態を通じて韓国の民主主義が揺らぐ様子をみて、明確な反対のメッセージを伝えることを決意したとみられる。
韓国の核武装は韓国だけの問題ではなく、全世界の「非拡散体制」を一気に崩すことになりうる爆発力のある事案だ。「核を持つ、それがだめなら潜在力でも持つ」と騒げば騒ぐほど、日本と同レベルの濃縮・再処理権限を持つことさえ閉ざされてしまうことになる。唯一の戦争被爆国である日本は「非核3原則」を徹底的に守り、現在のような権限を手に入れた。日本の事例を真剣にかみしめなければならない。