「高等教育機関として質のよい教育を提供すべき高麗大学当局は、高額の授業料によってそれを負担することの困難な人々を大学の外に追いやっています。大学を上流層の専有物にしないでください」。高麗大学に在学中のオ・スジンさん(25)は先月、ソウル城北区(ソンブック)の高麗大学の学内に「授業料引き上げ計画の撤回を求める壁新聞」を貼った。18日、オさんはハンギョレに「4つも家庭教師をかけもちしたり親に助けを求めたりしても、常に生計を心配しなければならない」と話した。
家賃が高いせいでオさんは、大学から徒歩で40分もかかるワンルームに住んでいる。それでも毎月支払う家賃だけで58万ウォン(約6万1100円。暖房費、電気代8万ウォン(約8430円)は別)、就職のためのTOEICなどの試験の費用も10万ウォン(約1万500円。書籍代、インターネット講義の受講料などは別)ほどかかる。昼食と夕食は6000ウォン(約632円)の学食で済ませ、交通費を節約するため歩いているが、授業料を除いてもオさんの毎月の生活費は120万~150万ウォン(約12万6000~15万8000円)あまりに達する。オさんは「従来の授業料(高麗大の平均授業料は1年で835万ウォン、約88万円)もすでに高いのに、上昇分まで加わったらどう対処すればよいのか悩んでいる」と言ってため息をついた。高麗大学は今学期、授業料を前年に比べ5%引き上げた。
全国の大学が17年間続いてきた授業料凍結の基調を捨て、相次いで引き上げを決めていることで、学生たちに懸念が広がっている。学生たちは、住居費や食費の高騰だけでも経済的負担が重いと口をそろえる。今学期に復学した梨花女子大学在学生のLさん(23)は、「2年前までは月50万ウォン(約5万2700円)台だったのに、新しく入居した部屋は似たような条件で月75万ウォン(約7万9000円)はかかる」と話した。実際に、不動産情報プラットフォーム「タバン」が1月にソウルの主要10大学近隣のワンルームの平均家賃と管理費を分析したところ、保証金1000万ウォン(約105万円)のワンルーム(33平米以下)の平均家賃は60万9000ウォン(約6万4200円)、管理費は7万8000ウォン(約8220円)だった。平均家賃と管理費が最も高い地域は梨花女子大学の周辺で、家賃と管理費の合計は84万6000ウォン(約8万9100円)にのぼる。
学生たちは生活費の切り詰めに努めているが、そこに授業料引き上げが襲いかかる。週に2回、1回6~7時間の事務補助のアルバイトをしている弘益大学生のHさん(24)は、「まずは最も減らしやすい食費を減らすようになる。コンビニで済ませたり、1食くらいなら抜くことも平気」と話した。Hさんは「学生は生活費を一銭でも削ろうと努力しているが、大学はあまりにも安易に授業料引き上げを語っているように思う」と付け加えた。
留学生の状況はさらに深刻だ。このかん諸大学は、教育部の国家奨学金の支援を受けるために学部の授業料は凍結してきた一方、特に規制のない大学院生と留学生の授業料は引き上げ続けてきたからだ。イエメンから来ている漢陽大学在学生のラナさん(25)は、「新学期の授業料が5%引き上げられたため、502万ウォン(約52万9000円。同じ学科で韓国人在学生は4.9%引き上げられ368万ウォン、約38万8000円)を払わなければならない。留学生は大学の行事への参加やインターンシップなどにおいて機会が得られないことが多いのに、より高い授業料を支払わなければならないという現実は不当だ」と指摘した。
一部からは、授業料引き上げをめぐって「顔色うかがい」を繰り広げてきた諸大学が、内乱事態で政府が混乱している隙をついて授業料を引き上げていると指摘する声もあがっている。全国大学労働組合のキム・ビョングク政策室長は、「物価が上昇しても十数年間にわたって授業料は固定されていたので、引き上げの声はあがり続けていた」としつつも、「しかし、このように雨後の筍(たけのこ)のように大学が授業料引き上げをおこなっているのは、平時とは異なり、顔色をうかがうべき権力が不在のため」と指摘した。民主平等社会のための全国教授研究者協議会のチョン・セウン共同議長も、「財政が限界に達して授業料を引き上げざるを得ない大学もあるが、財政的に余裕のある大学までもが授業料の集団引き上げに加わっている。権力の空白期が大学にとってはチャンスになっている格好」だと語った。