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「取り返しのつかない結果」…2.7度上がった地球の北極で起こる出来事

登録:2025-02-10 20:15 修正:2025-02-11 08:20
地球温暖化で溶け出した海氷のために狩猟の場を失い消えゆくホッキョクグマは、気候危機と絶滅を象徴する動物として親しまれている。もしかすると、その親しみは私たちと直接会うことができないほど遠く離れているということから来るのかもしれない/AFP・聯合ニュース

 パリ協定により世界の国々が約束した温室効果ガス削減目標(NDC)通りに炭素排出量を減らしても、2100年までに地球の温度は2.7度上昇するという分析が出ている。この場合、地球の平均より4倍も速く温暖化が進む北極ではどんなことが起きるのだろうか。

 米国立国立雪氷データセンター(NSIDC)の首席研究科学者であり、カナダのマニトバ大学(環境地球資源学部)のジュリアン・ストローブ教授の研究チームは最近、国際学術誌「サイエンス」に発表した「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」という論文で、観測記録と気候モデルシミュレーションで北極氷圏の3つの主要要素である▽海氷▽グリーンランド氷床▽永久凍土層の変化を中心に分析し、地球の温度が産業化以前より1.5度上昇した時と2.7度上昇した時にどのように変わるかを示した。

産業化以前から1.5度・2.7度の地球温暖化で、9月の北極の海氷面積(A)、グリーンランドの融解面積(B)、北半球の永久凍土層の面積(C)の変化=論文「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」より//ハンギョレ新聞社

 まず、海氷のない北極の夏が現れる水準が一層深刻化すると分析された。北極の温暖化は年間を通してかなりの量の海氷を減少させるが、その減少量は9月が最も多い。地球温暖化が1.5度進むと、2030~2050年の間に9月にしばしば海氷がなくなる(最小海氷範囲が100万平方キロ未満)可能性があった。しかし、2.7度の温暖化水準では、これよりさらに進んで北極海は多年生の海氷(数年間溶けずに固まっている氷、厚くて硬くホッキョクグマやアザラシの生息地の役割をする)まで失うことになると予想した。研究チームは、「これは人間の歴史上、前例のない変化」だと明らかにした。

 北極海に長期間氷がない状態だった最後の時期は、約13万年前の最後の間氷期だった。2012年には最小海氷範囲(海を海氷が占める範囲が15%以上のすべての地域)が初めて400万平方キロ以下に減ったが、これは1979~1997年の平均に比べて50%減少した数値だ。

グリーンランドの融解面積の変化=論文「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」より//ハンギョレ新聞社

 グリーンランドの氷河も急速に溶けると分析された。1.5度の地球温暖化の条件では、1カ月以上表面温度が0度を超える地域は、産業化以前に比べて2倍以上に増加する。しかし、2.7度の温暖化条件では約4倍に増加すると分析された。このため2.7度の温暖化条件で氷床の溶ける速度はかなり速くなると予想される。

 また、氷床が溶けて低下した「アルベド」(惑星が太陽の放射エネルギーを反射する程度)は、地表面の溶融水流出をさらに増加させ、この流出が今後数十年間にわたり地球の海水面の上昇を数センチずつ加速させると分析された。

1.5度の地球温暖化に比べ、2.7度の地球温暖化の際には、永久凍土層がさらに多く溶け、さらに多くの温室効果ガスが放出される見通しだ=論文「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」より//ハンギョレ新聞社

 永久凍土層の面積もかなり減少すると予想される。永久凍土層は、北半球の高緯度約1500万平方キロにわたって分布する。1.5度の温暖化の条件では、産業化以前に比べて永久凍土層の面積が約25%減少すると分析される。2.7度の地球温暖化が進めば約800万平方キロが失われ、産業化以前の時期の半分ほどしか残らないものとの見通しがなされた。

 そうなれば、2100年までに大気中に二酸化炭素とメタンが117ギガt-CO2(二酸化炭素換算トン)も追加で排出される可能性がある。この場合、地球の炭素予算(地球の温度上昇のために許容される温室効果ガスの最大量)が大幅に減ることになる。「気候変動に関する政府間協議体(IPCC)」の第6次評価報告書で、地球温暖化の水準が1.5度の時に残る炭素予算は2020年以後約140ギガトンと推定されている。

グリーンランドの氷床が溶けて海面上昇を加速させることになる=論文「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」より//ハンギョレ新聞社

 このような3つの損失によって発生する最も深刻な連鎖的被害の分野として、北極の海洋生態系と漁業▽大型海洋哺乳類と海鳥▽地域輸配送▽インフラに対する脅威が挙げられた。

 海氷が溶けると、光が少なく低温などの海洋条件で進化し適応してきた海洋生態系と海洋生物に悪影響を及ぼす。氷藻類、動植物プランクトン、冷水サンゴなどの重要な生態系が温暖化・酸性化などで被害を受けることになる。このような影響はそのまま漁業に対する影響につながり、魚族資源が萎縮するとみられる。

 また、地球温暖化1.5~2度の間では、ハドソン湾南部のホッキョクグマの個体群が最も早く消えると予測され、2.7度になればハドソン湾西部のホッキョクグマの個体群も絶滅する可能性が高いことが分かった。ベルーガと氷に依存するアザラシのような他の北極海洋哺乳類は、2.7度の温暖化で生息地と餌の変化、子の死亡率の増加などにより、潜在的に回復不可能な影響に直面するものとみられる。

 また、地球の気温上昇で繁殖期に餌が不足したり、子を育てるのに不適切な環境になり、北極の海鳥は特に脆弱になると予測される。また、今も道路や海氷の上などを移動する現地旅行が安全リスクを増加させるという事実が知られている。永久凍土層が溶けて地盤が弱くなることで道路や住宅などのインフラが危険になり、海氷面積が減って厚さが薄くなり、移動する人々の負傷や死亡リスクが増加しているためだ。

北極の海洋生態系と漁業(A)大型海洋哺乳類(B)地域交通(C)インフラ(D)に対する地球温暖化の脅威。下の色帯は危険レベルを示す。白: 危険感知不可、黄: 普通、赤: 高い、紫: 非常に高い=論文「消える風景:北極の2.7度地球温暖化」より//ハンギョレ新聞社

 研究チームは「国の温室効果ガス削減目標の約束が守られなければ、地球温暖化は2.7度をはるかに超えるだろうが、努力を強化すれば2.7度よりはるかに低い温暖化水準に到達できる」とし「これ以上の悪化を防止するためには全世界的に果敢で協力的かつ即時の措置が必要だ」と明らかにした。

キム・ギュナム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1181709.html韓国語原文入力:2025-02-10 18:01
訳J.S

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