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トランプ大統領のMAGA、もうすぐ東アジアにやって来る【寄稿】

登録:2025-02-03 05:22 修正:2025-02-03 09:38
ロシアの木製人形(マトリョーシカ)に中国の習近平国家主席(左から)、米国のドナルド・トランプ大統領、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の顔が描かれている/AP・聯合ニュース

 米国大統領選後、世界は帰ってきたトランプ氏が国際情勢にどのような影響を及ぼすかに注目している。就任前から強硬な国内外の政策を公言していたトランプ氏と彼のチームは、公約の履行によって支持層を結集し、強い指導者のイメージを構築して、今後の交渉力を高めようとするだろう。トランプ政権1期目とは違うこのような「出発方式」は、慣れ親しんだ既存のゲームのルールを大きく変え、国際秩序の新パラダイムへの転換を予告している。これについて以下のような見解を提示する。

 1つ目に、トランプ氏の就任演説から、米国の内政が最優先課題であることを確認できる。これは、トランプ氏が主張する「米国を再び偉大に」(MAGA)政策と「米国の黄金時代」の中心的な要素だ。就任後に署名した大統領令はこのような基本方針を反映しており、移民問題、フェンタニル問題、ジェンダー問題、米国の製造業保護や米国南部の国境に国家非常事態を宣言する措置などがこれに当たる。このような政策は、国内的には政治の二極化を強める可能性が高く、対外関係では彼我の区別のない「無差別攻撃」のかたちで表れる可能性がある。

 2つ目に、トランプ氏が米国の利益の最大化を重要原則とすることで、米国の戦略的競争国だけでなく同盟国も同様に、強い圧力を受けることになるだろう。トランプ氏は、メキシコとカナダに対する関税追加課税、メキシコ湾から「アメリカ湾」への改名推進、パナマ運河の返還要求、経済・軍事的な方法を活用したグリーンランド獲得の試み、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の防衛費増額などを要求している。孤立主義に基づく「米国を再び偉大に」政策は、トランプ氏にウクライナ戦争や中東戦争のような国際紛争に介入してはならないという立場を取らせることになるだろう。さらに、世界保健機関(WHO)やパリ協定のような国際組織や協定から離脱し、米国がもう「国際公共財」を提供する役割を果たさないようにする方向に進む可能性が高い。

 3つ目に、米国が「再び偉大になれるのか」の核心は、米中関係にかかっている。関税、科学技術、軍事安全保障、台湾海峡問題などは、大統領選の期間中だけでなく、当選後もトランプ氏の対外政策の論点の中心になっている。パナマ運河とグリーンランドの獲得を試みることや、カナダ・メキシコ関連の問題の提起は、中国に対する強硬な態度を間接的に示している。すなわち、米国の近隣諸国や同盟国にも容赦なく圧力をかけるだけに、中国に対してはよりいっそう強い措置を取ることを暗示している。これに備え、中国は日本、韓国、インド、フィリピンとの関係を積極的に改善し、さらに、両岸(中国と台湾)関係を緩和しようとする動きまで示し、トランプ2.0時代に立ち向かっている。

 最後に、トランプ氏のこのような「出発方式」は、米国が世界最強の大国である事実を考慮すると、長期的には副作用が生じる可能性がある。現在の手法は、ロシアや中国のような戦略的競争国を脅す効果はあるかもしれないが、同時に同盟国の信頼を失うことになりうる。国際機関への参加を拒否する動きは、中国が国際社会で影響力を拡大する機会を提供するだろう。トランプ氏が大統領令で推進する様々な政策は違憲論議や法的問題を引き起こす可能性があり、米国内の分裂をさらに深刻化することになりうる。このような状況は、最終的には米国の国力と世界の民主同盟国の指導者の名声を損ない、大きく衰退させる危険性がある。

 現在トランプ氏が集中している国家は主に西半球(米大陸)に属しているが、近い将来、東半球(アジア、欧州)に焦点が移るだろう。特にトランプ氏が大統領選挙中に言及し続けた「米国の安全保障への依存度が高い国は、より多くの防衛費を支出しなければならない」という発言が実現する可能性が高い。韓国や日本、台湾などの東アジア諸国は、国防費増額、対米貿易のバランス調整、米国内への投資拡大などの圧力を受け続けるだろう。トランプ氏が中国けん制に集中する場合、これらの国が受ける圧力はさらに強まることになり、これには慎重に対処しなければならない。

//ハンギョレ新聞社

王信賢|台湾国立政治大学国際関係研究センター所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1180396.html韓国語原文入力:2025-02-02 19:07
訳M.S

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