大韓民国の「憲法研究官第1号」で、李明博(イ・ミョンバク)政権で法制処長を務めた東西大学のイ・ソギョン碩座教授が、「内乱罪被疑者」の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は憲法裁判所で全員一致で弾劾されるとの見通しを示した。
イ元処長は15日、MBNの番組「時事スペシャル チョン・ウンガプの集中分析」に出演し、憲法裁判官の全員一致で尹大統領の罷免が決まるだろうと予測した。
イ元処長は「今回の弾劾の事由は朴槿恵(パク・クネ)元大統領の弾劾事由に比べて、弾劾事由の重大性、明白性において重圧感が大きいと思う」とし、「一言で言って、朴槿恵大統領の弾劾事由は、尹大統領の弾劾事由に比べればすずめの涙ほどのもの」だと述べた。
朴元大統領も国政壟断事態で重大な憲法・法律違反が認められて弾劾されたが、尹大統領はそれより重い内乱容疑がかけられているだけに、弾劾の可能性は高いということだ。
イ元処長は朴元大統領の弾劾審判に際しても憲法裁判所が全員一致で弾劾を認容すると推測し、実際にその通りになっている。
イ元処長は、憲法裁判所は早ければ2カ月以内に結論を出すとみている。尹大統領側が「弾劾と同じ理由で刑事訴訟が行われている場合、審判手続きを停止できる」という憲法裁判所法の条文を根拠として時間稼ぎする可能性があるとの予想が示されている中、イ元処長は「尹大統領の弾劾は国民の信任を裏切った行為に対する政治的な責任を問うもので、民事、刑事上の責任とは無関係だ」として、「大統領に内乱罪が成立するかしないかは、弾劾審判手続きとは何の関係もない」と説明した。
また、12・3内乱事態は正当な統治行為だと強弁した尹大統領も強く批判した。その理由は、尹大統領の非常戒厳宣布が憲法の定める発動要件に合致しないこと▽戒厳宣布を論議した国務会議で、首相と国務委員の署名入りの文書が作成されていないなど、手続き的に重大な欠陥があること▽戒厳軍を動員して国会議員を引きずり出し、選挙管理委員会を掌握しようとしたことが、憲政秩序を蹂躙(じゅうりん)する暴動に当たる、というもの。
さらに「大統領が統治行為をどうこう言うのはまったく説得力がない。統治行為は必ず憲法の枠組みの中でなされる時にのみ議論の対象になる」とし、「国憲を乱すという目的があったのだから、明らかに内乱罪に当たる」と述べた。
イ元処長は、尹大統領の弾劾に反対した親尹錫悦派がまたしても党の主導権を握った与党「国民の力」も批判した。「親尹だという方々は今日の事態を招いたことに責任がある。自重すべきなのに、また前面に出てきた」とし、「尹大統領の護衛武士を自任しながら過去の過ちを繰り返してはならない」と述べた。
国民の力のハン・ドンフン前代表の辞任で党代表権限代行を務めることになった元祖尹核関(尹錫悦の核心関係者)のクォン・ソンドン院内代表にも、「研修院の同期として忠告する。国民の意思を見て、保守を再生するという気持ちで正道を歩め」と述べた。