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韓国の人口変化の波はまずどこを襲うか【寄稿】

登録:2024-10-08 23:39 修正:2024-10-09 09:49
ソウルのある公共産後調理院の新生児室/聯合ニュース

 韓国の少子化の克服に重点を置いていた人口政策は、将来的に人口の変化として現れる韓国社会の変化への対応に重点を移していく傾向を示している。2030年までに合計特殊出生率を1.0にまで高めるという政府の目標が実現したとしても、人口減少と高齢化という長期的な流れが根本的に変わることはないだろう。したがって、人口変化の波及効果を見通し、その衝撃を緩和するための努力を強化するという政策の方向性は妥当だ。

 ただし、「全国」と「総量」を主に問う現在の総論的なアプローチから一歩踏み込んで、各地域・部門の特性を反映したきめ細かな個別政策が必要だということを指摘したい。人口変化が招く労働力需給の不均衡問題は良い例だ。一般的には人口減少と高齢化による「労働人口の絶壁」が懸念されているが、今後20~30年の間に労働市場に現れるであろう現象は、全般的な労働力不足ではなく特定地域、特定部門での労働力の不足問題であろう。

 では将来、具体的にどの地域のどういった産業で労働力が不足するのだろうか。最近、筆者と慶煕大学のオム・サンミン教授はこの問いに答えるため、人口と産業・技術の変化にともなう2032年までの各市道・産業の労働需給不均衡の規模を予想した。以下ではこの研究の主な結果を簡単に紹介するとともに、各地域・産業の人材需給の不均衡問題を緩和する方策を模索してみたい。

 第一に、保健医療と社会福祉サービス業はソウル、京畿、世宗、済州を除く全国14の市・道で大規模な人手不足に直面する可能性が高い。これは主に、人口の高齢化によるケアサービス需要の急増を反映する。将来の「ケア問題」を防ぐためには、この部門の従事者の処遇改善、適切なタイプの外国人材の導入などを通じてケア労働力の供給を拡大する必要がある。また、健康に対する投資を増やし、高齢者にやさしい住居と都市環境を造成するなど、ケアサービス需要の抑制にも努めるべきだ。

 第二に、ソウルと京畿道では情報通信業や専門・科学技術サービス業などの先端業種でかなりの規模の人手不足が発生すると予想される。首都圏に集中する先端産業の成長に伴って人材需要が高まる一方、青年人口の減少によってこの部門への労働力供給が減ることで起きる現象だ。このような労働力需給の不均衡を緩和するためには、先端産業が必要とする人的資本を備えた人材の供給を増やすために教育・訓練の改善が求められる。高熟練人材が首都圏に集中し、地域による不均衡がさらに深刻化するという問題を防ぐためには、並行して先端産業の事業体を地方に分散させることにも力を入れる必要がある。

 第三に蔚山(ウルサン)、慶尚南道、大邱(テグ)、慶尚北道などの東南圏地域では、製造業において大規模な労働力不足が発生するとみられる。これは、産業化初期に同地域の製造業に大勢就職した人材が高齢化するとともに、地域の青年人口が流出することで生じる現象だと解釈される。このような人手不足を軽減するためには、退職年齢を迎えた生産性の高い製造業労働者の雇用延長を考慮できる。また、この地域の雇用の質、労働条件、生活環境などを改善することによって、青年人口を引き込むことにも努める必要がある。この地域の産業に適したタイプの外国人労働者をさらに誘致するとともに、長く働けるようにするという制度改善も効果的だろう。

 以上で見たように、人口の変化が労働市場に及ぼす影響は、地域や部門によって異なる現れ方をするだろう。したがって、効果的な対応をしていくためには、地域や産業によって異なる事情を反映した個別の政策が必要だ。また、人口変化が招く労働力の需給不均衡を緩和する政策は、労働だけでなく産業、教育、福祉、医療、地域均衡、外国人政策などの様々な領域にわたっている。したがって、人口変化への対応の効果を高めるためには、中央政府と地方自治体、政府内の様々な省庁間の有機的な協力と政策調整が欠かせない。

 このような人口変化への対応のコントロールタワー役は、政府が現在設立を準備している仮称「人口戦略企画部」が担うとみられる。新設される同部には、人口問題を総合的に眺望しつつも、各地域・部門のバランスを取るとともに、複雑に絡み合った利害と確執を調整する作業が求められるだろう。この難しい課題を成功裏に遂行できるよう、新たな部の組織、機能、権限などが適切に定められることを期待する。

//ハンギョレ新聞社

イ・チョルヒ|ソウル大学経済学部教授・国家未来戦略院人口クラスター長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1161469.html韓国語原文入力:2024-10-08 07:00
訳D.K

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