主要7カ国(G7)の首脳らが、西側に凍結されたロシア資産の利子などの収益を活用し、500億ドル(約7兆8000億円)をウクライナに支援することで合意した。ロシアは「(西側にとって)苦痛の」報復を警告した。
G7首脳らは13日(現地時間)、イタリアのプーリアで開幕した首脳会議(G7サミット)でこのように合意したとロイター通信などが報じた。今回のサミットは15日まで開かれる。
首脳らは「G7は今年末にウクライナにさらなる資金支援として500億ドルを拠出するための『ウクライナのための特別収益加速(ERA)融資』を発足させる」と発表した。拠出された資金はウクライナの軍事および再建などのために支援される。加盟国は融資を受けウクライナに500億ドルを支援し、凍結されたロシア資金から出る年間約30億~40億ドルの収益金で借金を返済する方式に大筋で合意した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は今回の合意について「ウクライナ国民に独立と主権を守るのに必要な勇気を与える非常に強力な約束」だと評価した。手続きの問題が残っているため、実際にこの資金がウクライナに支援されるのは年末頃になると予想される。
西側は2022年2月末のロシアのウクライナ侵攻後、西側にあるロシアの国外資産約2800億ドルを凍結した。凍結資産はロシア中央銀行の預金などであり、欧州連合(EU)に集中している。特にベルギーの国際証券決済機関「ユーロクリア」に凍結されているロシア資産が1900億ユーロ以上で最も多い。このため欧州では、恩は米国が着せて、欧州は責任を取るだけという不満の声があがっている。
さらに大きな問題は、ロシアが警告する報復が現実化した場合だ。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は同日、「ロシア政府は対応を取るだろう。それはEUにとって非常に苦痛なものとなるだろう」と述べた。ロシアも西側の資産凍結に対抗し、自国内の西側資金を凍結したが、ほとんどは欧州諸国の資産だ。
ロシア国営の「RIAノーボスチ通信」によると、昨年末基準でロシア内の外国所有の派生金融商品や投資金は2150億ドル。このうち海外居住のロシア人の資金と推定される1500億ドルを除けば、少なくとも650億ドル程度が純粋な外国人の資金と推定される。ロシアはすでに自国内の外国企業の資産を少なくとも50%の価格で売却するよう強制し、ロシアの経営者らの管理下に置いている。
ロイターの報道によると、EUの政治家たちは、ロシアも自国内に凍結された欧州諸国の資金から出る収益金を没収するなどの方法で対応する可能性があると懸念しているという。
一方、米国のジョー・バイデン大統領は同日、G7サミットに招待されたウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談し、両国の10年間の相互安全保障協定を締結した。ウクライナは「歴史的」だと歓迎したが、協定は議会の批准が必要な条約ではない。