クリスチャン・ディオールのブランドバッグが下請け業者の労働搾取を通じて作られていたことが明らかになった。下請け業者の労働搾取を調査する過程で、2600ユーロのバッグの原価が53ユーロに過ぎないことが明らかになった。
ブルームバーグは10日(現地時間)、イタリアのミラノ裁判所がディオール・イタリア支社のカバン製造業者ディオールSRLに対して「司法行政予防措置」を命令し、1年間業者を監督する「司法行政官」を任命したと報じた。ディオールSRLは、中国の下請け業者の労働搾取を放置・助長した疑いを受けている。イタリアの裁判所は、特定会社が下請け会社を含む第3者の不法事業行為を通じて利益を得た場合、判事によって一時的に管理下に置くことができる。
ロイター通信が12日公開した34ページにわたる判決文によれば、ディオールSRLは「下請け業者の実際の勤務条件を確認するための適切な措置を採択せず、数年間にわたり下請け業者に対する周期的な監査を進行しなかった」と記されている。
判決文には、ディオールのバッグを作る下請け業者4カ所の労働実態調査結果も含まれていた。下請け業者は不法滞在者を雇用し、労働契約書をきちんと書いていない労働者もいることが明らかになった。労働者たちは生産ラインを24時間稼動しなければならないという理由で作業場で寝なければならなかった。また、電力の使用内訳を調査した結果、労働者は徹夜勤務や休日勤務など長時間労働を続けてきた。その上、作業速度を高めるために機械から安全装置を除去したりもした。
裁判所は判決文でモデルコード「PO312YKY」のバッグを例に挙げ、下請け企業らはこのような過程を通じて費用を節減し、ディオールSRLに53ユーロ(約9千円)でカバンを供給できたと指摘した。ディオールはこのカバンを自社の売場で原価の約49倍に達する2600ユーロ(約43万円)で販売した。
裁判所は判決文で「検察はイタリアのファッション企業の間で(このような)規定違反が単発性で現れるのではなく、利益追求のために体系的で固着化された方式で進行していると主張した」と書いた。4月にもジョルジオ・アルマーニがディオールSRLと同じ処分を受けている。