海兵隊捜査団の「C上等兵殉職事件」の調査結果が警察に移牒された日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領がイ・ジョンソプ前国防部長官に直接電話をかけた事実が確認された。また、尹大統領が激怒したという会議後の10日間、大統領室の国防秘書官とイ前長官の補佐官が数十回にわたり電話で話した事実も明らかになった。このすべての情況が、捜査介入の「本丸」が尹大統領であることを示している。
29日のハンギョレの報道によると、尹大統領は昨年8月2日、携帯電話でイ前長官に計3回電話をかけた。この日は、C上等兵殉職事件に関してイム・ソングン海兵隊1師団長(当時)など8人に業務上過失致死の疑いがあるという内容の海兵隊捜査団の調査資料が、一旦慶尚北道警察庁に移牒されてから回収された日だ。海兵隊捜査団が同日午前11時50分頃に事件の移牒を完了した直後、尹大統領はイ前長官に午後12時7分と12時43分、12時57分に相次いで電話をかけた。この際、尹大統領は検事時代から使ってきた携帯電話を使っており、基地局は官邸があるソウル漢南洞(ハンナムドン)だったという。当時、イ前長官はウズベキスタンに出張中だった。この日、パク・チョンフン前海兵隊捜査団長が集団抗命首魁罪で立件されたうえ、補職解任されており、同じ時間に慶北警察庁には軍の記録回収要請が伝達された。尹大統領は、イ前長官が捜査結果を見直す決定を下す前日の8月8日朝にも、イ前長官に電話をかけたという。
尹大統領が調査結果に「激怒」したという昨年7月31日の大統領主宰の国家安保室会議以降、大統領室の国防秘書官とイ前長官の補佐官が25回にわたり電話で話し、事実上「ホットライン」の役割を果たした情況も確認された。また、会議直後、イ前長官が大統領室の有線電話からかかってきた電話に出ており、168秒間にわたり通話した事実も公開された。高位公職者犯罪捜査処(公捜処)は捜査外圧疑惑の出発点である「大統領激怒説」と関連した証言と録音ファイルを確保したという。
争点となるのは、C上等兵殉職事件に対する海兵隊捜査団の調査と警察への移牒の過程で、大統領室と国防部の外圧があったかどうかだ。イ前長官側はこの日、立場表明文で「移牒保留の指示などは、国防部長官である自分の権限と責任に基づき、正当に決めたもの」だと主張した。しかし、捜査外圧疑惑の主な分岐点の度に、尹大統領とイ前長官の通話が行われたことは否定できない事実だ。公捜処の聖域のない捜査とともに、尹大統領はこれまで提起された疑惑に直接答えなければならない。